【追記あり】「ポビドンヨードが新型コロナに効く」吉村大阪知事の発言でイソジン買い占め、メルカリで高額転売も→事実上撤回へ

マスクや消毒液の時の買い占め・高額転売騒動再びとなっています。詳細は以下から。

◆吉村知事の会見で「イソジン」が買い占め・高額転売に
大阪府の吉村洋文知事が8月4日の会見で、うがい薬の成分「ポビドンヨード」が新型コロナの重症化を防げる効果を確認したと発表しました。

これは6～7月にかけて宿泊施設で療養していた軽症や無症状の新型コロナ患者40人ほどを対象として行った実験の結果。ポビドンヨード入りうがい薬で1日4回うがいをさせた患者は4日目に唾液のPCR検査の陽性率が9％程度になったのに対し、うがいをしなかった患者は陽性率が40％だったとのこと。大阪府は今後1000人規模の研究を進めてうがいの効果を検証したいとしています。

これに伴い各地のドラッグストアではポビドンヨードの入ったうがい薬の「イソジン」などが瞬く間に完売する事態に。BUZZAP!編集部でも確認しましたが、このとおりでした。

加えてメルカリでもイソジンなどのうがい薬の高額転売がスタート。ただしポビドンヨードの入っているものは第三類医薬品のため、出品されればすべて薬事法違反となります。

このためか、メルカリで現時点で多く出品されているのはポビドンヨードの入っていないタイプのイソジンばかり。ですがこれらも5000円前後の値段で売れており、情報確認作業の大切さをこれでもかと示す結果に。

◆本当にポビドンヨードは新型コロナに効くの？
ポビドンヨードは以前から「世界中で感染対策に使われている代表的な殺菌消毒剤の有効成分のひとつ」であり「強い殺菌効果を持っており、さまざまな種類の細菌やウイルスに効果を発揮」することも知られており、今回の会見内容自体は新しい発見というわけでもありません。

ただしポビドンヨードにはヨウ素が入っているためヨウ素過剰症をまねき、特に妊婦の使用は赤ちゃんの甲状腺機能の低下につながる恐れもあるため避ける必要があります。

また繰り返しポビドンヨードで消毒することで喉の粘膜を痛め、口腔内の常在菌を殺すことも指摘されており、かえって感染可能性が高まるケースも十分考えられます。

それ以前に、京都大学保健管理センターは水うがいがポビドンヨード入りうがい薬よりも風邪予防に効果的であるという研究結果を出していました。

こうしたことからポビドンヨードが新型コロナに特別有効かは医療関係者の間からも疑念の声があるのが現状。殺菌消毒作用のあるポビドンヨードでうがいをしたなら口や喉のウイルスが減るのは当たり前で、感染予防への効果とは別物であるとの指摘もあります。

現在まだ研究段階でしかないものを、実際の商品を並べながら「ポビドンヨードが新型コロナに効く」とした吉村知事の会見は、ポビドンヨードを本当に必要とする人が入手できなくなるというマスクや消毒用アルコールの時と同じ混乱を招いたことになります。

【追記】
吉村知事が自身の公式ツイッターアカウントで、ポビドンヨード入りうがい薬では新型コロナの予防効果が認められないこと、重症化を防ぐ効果も未検証であることをツイートしています。現時点で判明しているのは唾液中の新型コロナウイルスを減少させ、唾液を使ったPCR検査での陰性化を促すことのみとのこと。

誤解なきよう申し上げると、うがい薬でコロナ予防効果が認められるものではありません。重症化を防ぐ効果の検証はこれからです。判明したのは、唾液中のコロナウイルスを減少させ、唾液PCRの陰性化を加速させること。唾液PCR検査は毎朝うがい前。感染拡大防止への挑戦。 https://t.co/uqOZInb4ht
— 吉村洋文（大阪府知事） (@hiroyoshimura) August 4, 2020

なお、ポビドンヨード入りうがい薬ではすでに体内に侵入している新型コロナウイルスを殺すこともできません。このため唾液中のウイルスが減少して唾液PCR検査で陰性となっても、実際には体内にウイルスが存在し続けているケースが起こりうることに。これはPCR検査抑制派がその根拠としていた「偽陰性」を増やすことに繋がります。

すでにネット上では「店で感染者が出たら店が潰れる」「感染していると分かったら村八分になる」「職場で感染者を出したら迷惑になる」「人には言えない濃厚接触で感染したかも」などの理由から検査前にイソジンで無理矢理陰性にしようとする人が現れるのではないかとの懸念もささやかれています。第二次世界大戦時の「醤油を一瓶飲んで兵役逃れ」のような状況が起こる可能性は否定できません。

また、日本共産党の辰巳孝太郎前参議院議員が、会見に同席した大阪はびきの医療センターの松山晃文次世代創薬創生センター長と共同通信記者とのやりとりをツイートしています。こちらでは松山センター長は現時点での研究内容が政策に反映させられるような段階のものではないことを明言しており、明らかに吉村知事の勇み足であることが分かります。

例のうがい薬の記者会見を確認した。この共同通信記者とのやりとりに尽きると思う。この研究で政策的に言えることは何もない。 pic.twitter.com/z2LwLyqyuw
— たつみコータロー前参議院議員　日本共産党 (@kotarotatsumi) August 4, 2020

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