「上級国民」は他人の気持ちや考え方を理解するのが下手、新研究で明らかに



他人がどうなろうと知ったことじゃないといった風な、いわゆる「上級国民」のニュースが物議を醸すことが多々ありますが、どうやらこれが科学的にも正しいことが示されました。詳細は以下から。


横柄な暴言を何年にもわたって延々と繰り返してきた政治家や、9人の死傷者を出す暴走事故を起こしながら救護の姿勢すら見せなかった元官僚など、いわゆる「上級国民」と呼ばれるような人の中には眉をひそめざるを得ない人間性の人物が多々存在しています。

海外では「ノブレス・オブリージュ」という信念が重要視されているようですが、実際には26人の超富裕層が世界の半分の富を牛耳っているのが現状です。

もちろんこうした事情の根底には現在世界を覆いつくすグローバリズムという名の新自由主義の跋扈がありますが、ではそのような富めるものをさらに富ませ、再分配を拒否するシステムが作り上げられる裏には何が潜んでいるのでしょうか。

ジャーナルPersonality and Social Psychology Bulletinに掲載された新たな研究によると、社会の高い階級に属している、いわゆる「上級国民」は他人の気持ちを理解することが低い社会的階級の人々に比べて下手であることが判明しました。

研究を主導したカリフォルニア大学アーバイン校に所属するPia Dietzeさんは「私たちは現在のアメリカ社会の経済的な不平等性への疑問について研究を行いました。金銭や教育といったリソースにどれだけアクセスできるかが、他人に関する情報をどのように処理するかへの影響を調査しました」と述べています。

そのためDietzeさんは他人の気持ちを知るための人間の2つの根源的な構成要素、他人の顔から感情を読み解く能力と、他人の物の見方を傾聴する能力を調べました。

実験は752人のアメリカ人を対象に認知的共感に関する「Reading the Mind in the Eyes Test」を実施しました。これは人の目とその周りだけを見て気持ちのあり方を推測する能力を試験するものです。

研究者らはまた138人のニューヨーク大学の学生に対してDirector Taskを実施。このテストでは仮想アバターをもとに、コンピューターのディスプレイ上の物体を運搬するものです。

結果的に、双方のテストでより社会的地位の低い人々が高い人々よりも高い点数を収めることになりました。

いわゆる「下級」の人々ほど他人の顔から感情を読み取り、ものの見方を自然に理解できるのです。これは「下級」の人々ほど社会的に他人と慣れ親しんでいるという多くの研究結果と一致するもの。

Dietzeさんは、こうした認知が極めて基礎的なレベルで発生しており、新しい人の顔を見てからミリ秒単位で起こっていると指摘しています。

小規模研究のため、現時点では明確な因果関係ではなく相関関係が示された段階ですが、Dietzeさんは階級ごとの文化の差異がこうした認知の差異を生むことになっているのではないかと指摘します。

「下級」の人々ほど仕事や生活の場で他人の顔色をうかがう必要がある反面、「上級国民」は他人に顔色をうかがってもらう立場であることから、自分が他人の事を気にする必要がないと考えることもできそうです。

より社会的階級を上っていくほどに、そこにいる人々が他人が何を思い、何を考えているかを読み取れないとしたら、現在の人類の置かれている状況の原因のひとつと言えるのかもしれません。

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