野生動物の減少は留まるところを知らず、状況が悪化していることが明らかになりました。詳細は以下から。
WWF(世界自然保護基金)の最新の「The Living Planet Report 2020」によると、地球上の野生動物の生息数がこの50年の間に70%近く減少していることが明らかになりました。
この報告はロンドン動物学会が1970年から2016年までに収集した4392種の脊椎動物の20811体の指標をもとに作られたもの。
ここで野生動物減少の大きな理由として挙げられているのが大規模な森林破壊に環境汚染、持続可能でない農業・漁業の拡大、侵略的外来種や疫病に気候変動、そして密猟とのことです。
何より問題なのは状況が以前よりも悪化していること。2018年の報告では、野生動物の数は1970年から2014年の間に平均で60%ほど減少したことが報告されていましたが、今年の報告では1970年から2016年の間に68%減少していることが明らかになりました。
その中でも極めて甚大な影響を受けているのはヒガシローランドゴリラで、コンゴ民主共和国のカフジ=ビエガ国立公園で1994年から2015年の間に主に密猟によって87%減少。
またアフリカの大型インコのヨウムは密猟と生息域の減少で1992年から2014年の間に99%が姿を消しています。
またロンドン動物学会の公式動画によると、南米では94%、アフリカでは65%、アジアオセアニアでは45%減少しており、特に淡水域に生息する野生動物は84%減少しています。
なお、この68%の減少というのは調査した種の指標の減少の平均値であり、地球上の野生動物の総数が68%減少したことを示すわけではありません。例えばもともと個体数が少ない種が絶滅の危機を迎えると、減少の割合を引き上げることになります。
報告では2020年は地球環境との関係性を再構築するためのターニングポイントとなる年だと指摘します。新型コロナのパンデミックや熾烈な気候災害、巨大な山火事などが頻発しており、この機会に何とか方向性を変えて生物多様性の減少を食い止める方向に舵を切る必要があるとのこと。
具体的には食物の生産と消費のスタイルを変えることが主とされ、より効率的な食糧生産、廃棄物の減少、環境負荷の低い食事への変更などが課題とされています。
思えば2013年に人口爆発への対策として国連が昆虫食の推進を提言していましたが、効率的で環境負荷の少ない食料としても昆虫食は非常に優秀なことは何度もお伝えしたとおり。
増え続ける人口の食糧事情を解決することと、野生動物を保護し、生物多様性を維持するための道は意外と近いものなのかもしれません。
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