「ワクチン配布、自民KKKチームの活躍に期待」アゴラ記事での元自民党議員の命名センスに「さすがにまずい」の声集まる

批判的な文脈かと思いきや、元自民党の衆議院議員によるべた褒め記事でのネーミングでした。詳細は以下から。

◆「自民KKKチーム」って何？
「言論プラットフォーム」を名乗るニュース論説サイト「アゴラ」に掲載された、新型コロナのワクチン配布を巡る記事が物議を醸しています。

その記事のタイトルは「ワクチン配布、自民KKKチームの活躍に期待」（魚拓）というもの。

記事の出だし、1行目から

まだどなたもKKKチームについて言及されていないようなので、私が口火を切ることにする。

口火を切るどころかガソリンをぶちまけて点火し、

KKKの最初のKは、河野太郎氏である。
今や菅さんの切り札だと言っていいだろう。

と名指しで河野大臣をKKKチーム筆頭に任命。どうやら新型コロナのワクチン配布に絡む河野太郎氏、小泉進次郎氏、小林史明氏の3人のイニシャルがKだということからKKKチームという命名がなされた模様です。

ワクチン配布問題で、河野太郎氏がその担当大臣、河野太郎大臣を脇で支えるのが小泉進次郎氏で、河野太郎氏の手足や目鼻になって補佐するのが自民党の青年局長を務めたこともある自民党行政改革推進本部規制改革PT座長の小林史明補佐官ということだから、まさにKKK3人組、Kチームが出来上がったということだろう。

最後にはダメ押しのように自民党と菅首相まで引きずり込んで記事をまとめています。

KKKチームの発足は、菅さんにとっても自民党にとってもプラスになる。

◆「KKKチーム」の何がどうまずいのか
KKKはクー・クラックス・クラン（Ku Klux Klan）という世界的に知られるアメリカ合衆国の白人至上主義団体のこと。白人以外の有色人種の市民権に異を唱える差別主義を隠さず、反カトリックや反LGBT、反フェミニズムなどの立場も取っています。

現代アメリカでは、KKKという統一された組織が存在しているというよりは、この思想を受け継いだ団体が各地で活動しているという状態。トランプ支持を叫んだプラウド・ボーイズの中にもこうした白人至上主義者がいることは指摘されてきました。

これ以上言う必要もありませんが、「KKK」という文字列自体がナチスを表す「鉤十字」と同レベルに、白人至上主義という強い差別的意味を持っているということです。

「分断ではなく融和」を掲げるバイデン政権誕生という非常に重要なタイミングで、米企業であるファイザー製薬製のワクチン配布に関するチームを「KKK」と命名することは誰がどう考えてもさすがにまずいことは明白です。

◆「KKKチーム」命名は元自民党議員の早川忠孝氏
さて、この大切な時期にワクチン配布チームをよりによって「KKKチーム」なんて命名したのはどこの誰なのでしょうか。政府に批判的な記者が揶揄的に命名したのかと思いきや、現実はその真逆でした。

この記事を執筆したのは弁護士で元自民党の衆議院議員だった早川忠孝氏。記事を読めば分かるように河野大臣を筆頭とする「KKKチーム」を無邪気なまでにべた褒めしています。

記事のどこを切っても揶揄するような意図はまったくなく、ただひたすら素直に3人のイニシャルから「KKKチーム」と命名してしまった様子が伺えます。早川氏が本当にKKKのことも、そのネーミングのまずさも理解していなかったように見えるレベルです。

これには当然ネット上も「さすがにまずい」「あり得ない」の反応で埋め尽くされており、擁護の声は見当たりません。

そして大きな問題は、この早川忠孝氏がKKKというネーミングの持つ意味をまったく理解できていなかったことだけでなく、アゴラという「言論プラットフォーム」を標榜するサイトがこの記事をそのまま掲載してしまったこと。

アメリカ合衆国や白人至上主義の歴史をほんの少しでもかじったことがあれば「KKKチーム」というネーミングが絶対にありえないもので、何をおいても掲載してはいけないことくらいは当然理解できるはず。

それを校正せずにまんまと掲載してしまった段階で、機微な情報や表現に対する感度が低いどころかまったく機能していないことが露呈してしまったことになります。