【コラム】安倍晋三前首相が韓国発カルト「統一教会」巨大イベントで演説、トランプ前大統領まで登場した経緯と歴史



安倍晋三前首相が韓国発カルト「統一教会」の巨大イベントにリモート出席し、基調演説を行いました。

安倍前首相と統一教会の関係のスタートは祖父の岸信介元首相にまでさかのぼり、自民党を巻き込んだ強いつながりが現在まで続いています。その経緯と歴史をまとめてみました。

◆安倍晋三前首相が統一教会イベントで演説
安倍前首相が演説を行ったのは、韓国発のカルト「統一教会(世界平和統一家庭連合・天の父母様聖会世界」が、フロント組織の「天宙平和連合(UPF)」と韓国の京畿加平郡清心ワールドセンターで9月12日に共同開催した巨大イベント「THINK TANK 2022希望の前進大会」です。


UPFは公式サイトによると、「2005年9月に創設された国連経済社会理事会(ECOSOC)の総合協議資格を持つ国連NGO」とされており、創設者は統一教会の教祖である文鮮明氏。統一教会の国連NGOとしてのいわば仮の姿であることが分かります。


なお「THINK TANK 2022希望の前進大会」は安倍前首相だけでなくトランプ前大統領もリモートで演説。

도널드트럼프 THINK TANK 2022 희망전진대회 20210912e


それ以外にも潘基文元国連事務総長、カンボジアのフン・セン首相、ニジェールのバズム大統領、コンゴのサスヌゲソ大統領、フィリピンのアロヨ元大統領、バローゾ元欧州委員会委員長といった錚々たる面子が演説者として紹介されています。

神統一韓国のためのTHINK TANK 2022 希望前進大会 プロモーションビデオ - YouTube


安倍前首相の演説を全文掲載します。

ご出席の皆様、日本国前内閣総理内閣大臣の安倍晋三です。UPFの主催のもと、よりよい世界実現のための対話と平和的解決のために、およそ150ヶ国の国家首脳、国会議員、宗教指導者が集う希望前進大会で、世界平和を共に牽引してきた盟友のトランプ大統領と共に演説する機会をいただいたことを光栄に思います。


特にこの度出帆したTHINK TANK 2022の果たす役割は大きなものがあると理解しております。今日に至るまでUPFと共に世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁を始め、皆様に敬意を表します

さて、いまだ収束の見えないコロナ禍の中ではありますが、特別な歴史的意味を持つこととなった東京オリンピック・パラリンピック大会を多くの感動と共に無事閉幕することができました。ご支援いただきました世界中の人々に感謝したいと思います。

史上初の1年延期、選手村以外外出禁止、無観客等、数々の困難を超え、開催できたアスリートの姿は世界中の人々に勇気と感動を与え、未来への灯りをともすことができたと思います。

そして、イデオロギー、宗教、民族、国家、人種の違いを超えて感動を共有できたことは世界中の人々が人間としての絆を再認識する契機となったと信じます。


コロナ禍に覆われる世界で不安が人々の心を覆いつつあります。全体主義国家と民主主義国家の優位性が比較される異常事態となっております。人間としての絆は強制されて作られるべきではありません。感動と共感は自発的なものであります。人と人との絆は自由と民主主義の原則によって支えられなければならないと信じます。

一部の国が全体主義、覇権主義国家が力に寄る現状変更を行おうとする策動を阻止しなければなりません。私は自由で開かれたインド太平洋の実現を継続的に訴え続けました。そして今や米国の戦略となり、欧州を含めた世界の戦略となりました。自由で開かれたインド太平洋戦略にとって、台湾海峡の平和と安定の維持は必須要件です。

日本、米国、台湾、韓国など、自由と民主主義の価値を共有する国々のさらなる結束が求められています。UPFの平和ヴィジョンでは家庭の価値を強化する点を高く評価いたします。世界人権宣言にあるように、家庭は世界の自然に対する基礎的集団単位としての普遍的価値を持っています。偏った価値観を社会革命運動として展開する動きに警戒しましょう。

いつの時代も、理想に向かう情熱が歴史を動かしてきました。理想の前には常に壁があります。よって戦いがあるのです。情熱をもって戦う人が歴史を動かしてきました。

自由と民主主義の価値を共有する国々の団結、台湾海峡の平和と安定の維持、そして朝鮮半島の平和的統一を成し遂げるためには、とてつもない情熱を持った人々によるリーダーシップが必要です。この希望前進大会が大きな力を与えてくれると確信いたします。ありがとうございました。


安倍前首相は繰り返しUPFを称賛し、UPFの韓鶴子総裁に敬意を表しています。また朝鮮半島の平和的統一についても言及し、おそらくは中国を指すと思われる「覇権主義国家」への警戒感も隠しません。

いったいなぜ韓国の統一教会の巨大イベントに安倍前首相とトランプ前大統領がこのような形で演説を行ったのでしょうか。経緯を見ていきましょう。

◆岸信介元首相から始まる、自民党と統一教会との切っても切れない関係
統一教会と自民党には古くからの関係があります。両者の関係の源流にいるのは安倍首相の祖父である岸信介元首相です。

岸信介元首相は国際勝共連合の設立に深く関わり、74年に開催された、統一教会の教祖である文鮮明氏も講演を行っている「希望の日晩餐会」の名誉実行委員長にもなっていました。

希望の日講演会 - YouTube


この国際勝共連合を作ったのがまさに統一教会の教祖である文鮮明氏その人。「共産主義は間違っている」とのスローガンで「勝共運動」を1960年代後半から行っており、公式HP魚拓)にも文鮮明氏の画像が掲載され、創設者と明記されています。


この時期から国際勝共連合は自民党の有力な支持団体となり、会員を国会議員や公設秘書として政権の内部に送り込んでいました。安倍首相の父親の安倍晋太郎元議員もこうした「勝共推進議員」のひとりでした。

◆安倍前首相のもとでも続いていた統一教会とのつながり
安倍前首相自身についても見てみると、まず官房長官時代に統一教会に祝電を送っている動画が残されています。

自民党議員安倍晋三氏統一教会へ祝電 - ニコニコ動画


この際に祝電を送った国会議員や知事が安倍前首相を含めて判明分だけでも54人にのぼり、抗議集会も行われていました

そして第二次安倍内閣発足後の2013年には、国際勝共連合が発行する雑誌「世界思想 2013年9月号」で自らその表紙を飾りました。


統一教会との関係は安倍前首相本人だけではありませんでした。2014年10月のイベントでは萩生田光一衆院議員と中川雅治参院議員が来賓挨拶を行った記録が残されています。

東京・八王子市芸術文化会館大ホールで「祝福原理大復興会」なる催しが開催されたのは、10月11日。この聞き慣れない奇妙な名のイベントを主催したのは世界基督教統一神霊協会(以下、統一教会)多摩東京教区だ。来賓挨拶の欄には、自民党総裁特別補佐の萩生田光一衆院議員(東京24区)、参議院議院運営委員長の中川雅治参院議員(東京)の名前が記されていた

安倍首相側近らが続々と統一教会詣での“怪” 〈週刊朝日〉|dot.ドット 朝日新聞出版より引用)


さらに、2015年8月に世界基督教統一神霊協会が世界平和統一家庭連合へと名称変更を行った際、鳩山邦夫議員、及び亀井静香議員が祝電を送っています

2016年5月29日には、安倍政権への抗議を続けていた若者組織「SEALDs」に対抗するように、「大学生遊説隊 UNITE」なる若者組織が出現。

当初から安倍政権の掲げていた憲法改正や安保法制に賛成するデモを行っており、現在に至るまで活動を続けています。なお、後に「勝共UNITE」と名称変更され、国際勝共連合内グループである旨も明らかにされました。

◆菅首相も統一教会幹部らをオモテナシしていた
こうした関係は菅義偉首相にまで繋がっていました。

統一教会の金起勲(キムギフン)北米大陸会長ら幹部一行が2017年5月に来日した際、菅義偉官房長官(当時)から首相官邸に招待され、さらに自民党本部で高村正彦副総裁(当時)ら幹部と面会するという歓迎を受けたことを週刊朝日が報じました。

これは、統一教会の放送局「PeaceTV」が5月19日に韓国で放送した、「天地人真の父母様主管 韓・日・米 希望前進大会 勝利特別報告会」という番組内の生中継の中で明らかにされたもの。発言内容は

「訪日初日に自民党本部に行き、高村正彦副総裁、田中和徳同党国際局長が歓迎してくれた」
「京王プラザホテルで開催した(同会関係者との)シンポジウムに国会議員6人が参加した」
「日米安保の権威、安倍首相に毎日、報告する政府要職者とも会った」
「最終日には菅義偉官房長官が首相官邸に私どもを招待してくれた」


と実名が出ており、金会長一行と会談する高村氏と田中氏らの画像も流されました。

さらに5月14日の統一教会のイベント「天地人真の父母様 日本特別集会─孝情文化フェスティバルin Tokyo─」には自民党の山本朋広衆議院議員と宮島喜文参議院議員が来賓挨拶しています。

挨拶内容は「日頃より世界平和統一家庭連合の徳野会長をはじめ皆様には、我々自民党は大きなお力をいただいています」(山本議員)、「昨年7月の参議院選挙で皆様方の応援をいただき当選させていただきました」(宮島議員)とのこと。

自民党が現在進行形で統一教会の支援を受けていることを、まざまざと匂わせる発言となっています。

◆トランプ大統領と統一教会の繫がりは?
2017年の就任時からトランプ大統領の「スピリチュアルアドバイザー」を務めるポーラ・ホワイト牧師は、極めて極端なキリスト教原理主義者として知られます。

ホワイト牧師は米国とトランプ氏に敵対する者に対して「command all satanic pregnancies to miscarry right now.(すべての悪魔の妊婦よ、今すぐに流産しろ)」と説教を行って大きな批判を浴びたエキセントリックな人物。

昨年、敗色濃厚となったトランプ氏のためにぶっ飛んだ祈りを捧げて話題になっており、以下の動画をどこかで見た方も少なくないのではないでしょうか。


このポーラ・ホワイト牧師は2020年8月9日、韓国で開催されたUPFの「100万希望前進大会」に招かれて演説を行っています。


ポーラ・ホワイト牧師自体が統一教会の信者ということではありませんが、トランプ氏が支持基盤のひとつに福音派を筆頭とした極めて厳格なキリスト教原理主義者らを抱えていることは、就任当時から指摘されてきたとおり。統一教会はこうした流れの中でトランプ政権にも強く食い込んでいます。

ホワイト牧師の演説に先立つ2020年2月の「ワールドサミット2020」ではトランプ大統領の名前で祝賀メッセージも送られており、これが今回の演説への大きな布石となっています。

◆21世紀の世界各国の政治に食い込む統一教会
安倍前首相が以前からカルトと批判されている統一教会のイベントで演説したこと自体も大きな衝撃ですが、加えて統一教会が日本やアメリカ合衆国をはじめ、世界の多くの国々で首脳クラスと太いパイプを持っているという事実は極めて重要です。

安倍前首相はTHINK TANK 2022希望の前進大会を「およそ150ヶ国の国家首脳、国会議員、宗教指導者が集う」と評しましたが、2021年のこの世界における影響力の大きさについて、そして日本の与党である自民党にどれだけ近い存在なのか、もっとしっかり認識しておいたほうがよさそうです。

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