親が倒れた時の強い味方になってくれる介護保険。でもどうやって申請し、認定してもらえるの?そんな疑問の超初歩の初歩をまとめました。
前記事では親が倒れた時にまず何を置いてもすべき「地域包括支援センターへの連絡」について紹介しました。
そこから何が起こるのか、どうなれば要介護や要支援の認定が降りるのかについて見てみましょう。
◆要介護認定の申請
包括支援センターの担当者が自治体に要介護認定の申請をセッティングすると、追って自治体の担当部署から訪問調査を行う認定調査員が派遣されてきます。
前記事でも書きましたが、この申請は包括支援センターの担当者からやってもらえる場合もありますが、自治体の運用などによっては本人や家族が自治体の窓口で直接申請するよう求められる場合もあります。
この辺りは全国で統一的にどうなっていると言えない部分ですので、包括支援センターとつながった時点でしっかり確認しておく必要があります。
申請で必要なのは「介護保険 要介護認定・要支援認定申請書」と介護保険の被保険証。65歳以下の場合は健康保険の保険証が必要です。
(京都市:要介護認定・要支援認定申請書/認定調査連絡票より引用)
またマイナンバーが求められるため、マイナカードなどを手元に置いて分かるようにしておきます。ちなみに申請は無料です。
◆「訪問調査」では何を聞かれ、何をするのか
申請を行うと、ケアマネジャーなどの認定調査員が対象となった人の自宅を訪問し、聞き取り調査を行います。この際、可能な限り同居する家族が同席できるように日取りを決めましょう。
ヒアリングの内容としては、対象となった本人に対し、心身の健康状況や日常生活を行う上での問題や不便さ、また家族との関わりや住居の状態などが聞かれます。
自分はまだ元気であるとがんばってしまう高齢者も少なくないとのことですが、大切なのは状況の正確な把握。本人が自然なままを話す必要がありますが、同席した家族から見た状況を伝えることも重要になります。
加えて基本調査として、歩行や日常生活上の行動を実際に試してもらい、各種の動作にどの程度障害が出ているかをチェックします。
これは布団からの寝起きができるか、トイレや風呂を不便なく使えるか、着替えや外出は可能かといった身体機能・生活機能の確認から、年齢や生年月日、名前などを覚えているか、しっかり記憶ができているかといった認知機能などまで幅広いもの。
認定調査票は公開されているため、あらかじめチェックしておくと聞かれた時に迷わずにすみます。
単純に足腰が弱って歩けないだけといった高齢者にとっては不快に感じる質問もあるかもしれませんが、これらはあくまで判定のためのものです。
この訪問調査が終わった段階で、確定ではないものの、どの程度の認定が降りるかのざっくりとした見込みが立つ場合が多いため、以降のケアプランを立て始めることができます。
◆かかりつけ医による「主治医の意見書」
この訪問調査に加え、かかりつけ医による「主治医の意見書」が認定に必須となります。病気や怪我をした場合には、その際にかかっている医者に頼むことになります。
一方で、これまで健康で特にかかりつけ医がいない場合には自治体の紹介する医師の診断を受けることになります。この辺りの手配も包括支援センターの担当者とのやり取りの中で教えてもらえますので、しっかり共有しておきましょう。
また介護保険の更新の際にも診察が必要となってくるため、身近にかかりつけ医を見つけておくことは非常に重要です。
◆申請から認定までは1ヶ月あまり
訪問調査と主治医の意見書が揃った段階でコンピューターによる一次判定が行われます。そしてその結果をもとに、介護認定審査会で医療や福祉の専門家らの会議によって二次判定が行われ、介護認定の結果が決まります。
申請から二次判定が降りるまでの期間は約1ヶ月あまり。ただし年末や年度末などを挟む場合や、自治体の都合によってさらに1ヶ月程度延びるケースもあります。
介護認定の発効は原則的に認定申請日となり、有効期間は新規の場合は6ヶ月。更新の場合は12ヶ月となります。
認定は自動更新はされず、期限前日の60日前から更新の申請ができるため、継続的に使うためには忘れず更新する必要があります。
また認定結果に不服がある場合には、自治体の窓口に相談できます。それでも納得できない場合は「介護保険審査会」への不服申し立てをすることもできます。
認定されたレベルによって利用できる介護サービスの種類や回数に違いがあるため、このレベルは後々重要になってきます。
次回は認定が降りる前に使い始められる暫定ケアプランについて解説します。
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