親が倒れた時の強い味方になってくれる介護保険。介護認定は大きく要支援と要介護に分かれています。
いったいこれらはどう違うのでしょうか。そこには介護保険の設計理念が深く関わっていました。
◆要支援と要介護はどう違う?
介護保険の申請が認定されると、大きく「要支援」と「要介護」のどちらかになります。要支援は1か2に、要介護は1から5のいずれかに割り振られます。
それぞれで受けられるサービスの内容や回数が違ってくるのですが、まず要支援と要介護の違いを見てみましょう。ここで重要なのは菅前首相が述べていた「自助・共助・公助」という考え方です。
簡単に言うと、要支援は日常生活は自分でできるけれど、多少の不自由さや不便があるため、今後「要介護にならないための支援が必要」ということ。
要支援は座る、立つ、歩くといった日常動作がある程度でき、買い物や電話などの日常的な行動もそれなりに可能ながら、すべてを自助で完結するのは困難な状態です。
家族による一定の共助があったとしても一日中つきっきりにはなれないため、手すりなどの補助器具やリフォーム、またデイケアでのリハビリといった公助を受けることになります。
一方で、買い物の代行といった一部のサービスは元気な家族が同居している場合などは使えず、共助でどうにかしなければなりません。
逆に要介護はひとりで日常生活を送るのが困難な人に「介護が必要」ということ。
要介護になると日常生活を自助で完結できず、歩行や着替え、入浴や排泄といった日常行動に介護が必要となってきます。当然共助でまかなえるものではなく、公助の占める割合が大きくなります。
この公助は要介護度の数字と共に大きくなり、たとえば要介護3になると特別養護老人ホームに入所できるようになります。
◆介護保険の設計理念
先に「自助・共助・公助」について触れましたが、介護保険の設計理念は「自助が難しい人に対し、家族などによる共助を補うための公助」と言うことができます。
そしてさらに言えば、この公助は「可能な限り要介護にならないように支援する」ことを大きな目的としています。
年をとっても元気なままならベストですが、弱ってもリハビリなどで回復すれば支援のコストは少なくなります。
また小さな支援で日常生活が維持できれば、それは心身の健康に直結し、要介護となる可能性を減らせたり、時期を後ろ倒したりできます。
高齢者が一度寝たきりになってから日常生活ができるまで回復するのが困難なことは言うまでもありません。
可能な限り早い段階で、できるだけ元気なうちに介護保険につながることが、より長く健康でいられるための大きなポイントと言えます。
もちろん病気や怪我などで状況が急変することもありますが、ギリギリまで我慢することなく、早期に介護保険を申請することが重要です。
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