選択的夫婦別姓に反対しているのは、自民党支持者ですらなく自民党の政治家たちであることが浮き彫りになりました。詳細は以下から。
◆自民党の合同会議、9割が「選択的夫婦別姓推進」に反対
自民党は12月4日、内閣第1部会などの合同会議を党本部で開き、12月中旬に閣議決定する予定の第5次男女共同参画基本計画の原案について議論を行いました。
今回焦点となっているのは選択的夫婦別姓制度に関する記述ですが、これ対して出席議員らから異論が噴出する事態となりました。
原案では女性の約96%が結婚に伴って改正している現状を説明。旧姓を使えないことが結婚後の「生活の支障になっている」と指摘しています。
加えて「実家の姓が絶えることを心配して結婚に踏み切れず少子化の一因となっている」などの懸案事項も示されるなど、夫婦別姓推進派の意見が強く反映されていました。
冨岡勉部会長によると、この日の合同会議の出席議員の約9割が原案に反対に回ったとのこと。
会議では「世論をリードする意見か加味せず突然出てくるのは恣意的だ」などの声が上がり、衛藤晟一前少子化対策担当相は「夫婦別姓でないと困るという意見が出ているが、エビデンスがしっかりしていない。お粗末な中身だ」と記者団に語っています。
これによって原案の部会長への一任は見送りとなり、8日に再度会合を開き議論することとなりました。
◆実際には国民の7割、自民党支持者の過半数が「推進」を容認
ですが、日本国民の多くは現時点で選択的夫婦別姓に賛成しています。
10月にインターネットを通じて行われた「選択的夫婦別姓」への賛否を問うアンケートでは、「他の夫婦が同姓でも別姓でもかまわない」として選択的夫婦別姓賛成した人が合計で71%に。
これに対し、「自分は夫婦同姓が良いし他の夫婦も同姓であるべきだ」と反対した人はわずか14%に過ぎず、5倍以上の差を付けられています。
回答の選択肢が独特に見えるかもしれませんが、これはあくまで「選択的夫婦別姓」を問うものであるから。例えば「自分は夫婦同姓が良いけど、他の夫婦は同姓でも別姓でもかまわない」はという考えは名実ともに賛成意見となります。
加えて自民党支持者でも選択的夫婦別姓への賛成者はこの数年で増加し、今年春の調査では過半数に達するなど、民意は大きく賛成に傾いているのが現状です。
◆自民党の有志は選択的夫婦別姓に反対する「絆」議連を設立したばかり
今年の11月下旬には、自民党の有志議員らが選択的夫婦別姓推進の流れに反対すべく、家族や地域社会の絆を重視するという名目で議員連盟「『絆』を紡ぐ会」を設立しています。
この発起人には反同性愛デモを主催した「頑張れ日本!」の結成大会にも出席していた山谷えり子(本名:小川 惠里子)元拉致問題担当相、ナチス賛美の「ヒトラー選挙戦略」に推薦文を書いた高市早苗前総務相、疑惑と失言の総合商社状態の片山さつき元地方創生担当相らが名前を連ねています。
議連の設立趣意書では「地域社会の絆、家族の絆など、わが国の更なる発展のための政策を検討すべく設立する」としており、子供の姓をめぐり家庭内で混乱や対立が生じることを危惧するとの名目で選択的夫婦別姓には真っ向から反対しています。
「絆」議連の共同代表を務める高市早苗前総務相は、第5次男女共同参画基本計画に対して「私たちが見過ごせない文言が入る可能性がある。親子、夫婦の戸籍上の同氏を堅持していきたい」と述べており、今回の合同会議での反対派の旗振り役となっています。
自民党と連立を組む公明党も選択的夫婦別姓制度の導入を求めているため、現在国内で反対している政党は自民党のみという構図が浮き彫りとなりました。
自民党議員の中でも稲田朋美前幹事長代行や橋本聖子男女共同参画担当相らが導入に前向きな姿勢を示していましたが、ふたを開けてみると反対派がまだ圧倒的というのが現実。
自民党支持者の過半数の「民意」は反映されることになるのでしょうか。
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