あれだけ口を酸っぱくして「他人に知られてはいけない番号」と注意喚起していたはずが、確認用の身分証やスマホとまで一体化してしまうことになそうです。詳細は以下から。
菅官房長官が、マイナンバーカードを運転免許をはじめとする各種の免許証としても利用するための制度改正に取り組む考えを示したことが明らかになりました。
これはマイナンバー制度の普及促進策を検討する政府の作業チームの初会合での発言で、菅官房長官に加えて高市総務大臣ら関係閣僚のほか民間の有識者や企業関係者らも出席していました。
菅官房長官は「新型コロナウイルスへの対策の現金10万円の一律給付などをめぐって、社会全体のデジタル化を進めることが、いかに重要であるか改めて認識した。わが国の成長力、国際競争力を維持するために、マイナンバー制度や国と地方のデジタル基盤の抜本的な改善を図る必要がある」と発言。
その一環としてマイナンバーカードを運転免許証や国家資格証、在留カードなどの免許証と一体化させるほか、健康診断などの生涯に渡る健康データをマイナンバーカードで把握・管理できる仕組みも構築するとのこと。
これに加えて将来的にはマイナンバーとスマホを一体化する考えも示しており、菅官房長官は「年内に工程表を作成し、できるものから実施していきたい」と強調しています。
マイナンバーカードは2021年3月から健康保険証として利用できるようになり、「マイナポイント」制度の導入で申請数は増えてものの普及率は2割程度にとどまっています。
政府はマイナンバーカードを「2022年度末にほとんどの住民が保有する」との目標を掲げており、このためのなりふり構わぬ方策との見方も出てきそうです。
多くの人が本人確認のために携帯する運転免許証などの本人確認証明書と一体化すれば普及率は確かに増すかもしれませんが、そもそもマイナンバーは「絶対に他人に知られてはいけない番号」として導入された一生変わらない個人番号。
これを本人確認のたびに提示する証明書として携帯したり、運転時に絶対必須な免許証と一体化させることはさらなる個人情報流出へとつながることは間違いなさそうです。
また、せっかくマイナンバーを用いた10万円給付のオンライン申請が不具合続きのグダグダで終わったことを考えると、マイナンバーの利便性を追求する前に信頼できる社会のデジタル化を行わなければリスクと不信感を増やすだけに終わる可能性もあります。
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