紆余曲折の末に開催された「表現の不自由展かんさい」を訪れました。
◆「表現の不自由展」とは?
2019年に愛知県で開催された芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が補助金支給撤回や展示中止に追い込まれたことは大きなニュースとなりました。
従軍慰安婦をテーマにした「平和の少女像」や、「昭和天皇の肖像を使った創作物を燃やす映像作品」とされた作品の展示に対し、多くの抗議や脅迫も行われました。
その影響は河村名古屋市長や高須クリニックの高須克己院長らによる大村知事のリコール運動にまで発展。結果的に40万筆を超える署名偽造という前代未聞の事件を引き起こしています。
「表現の不自由展」はこれで終了したわけではなく2021年6月には東京で「表現の不自由展・東京展」を予定していたものの会場への妨害行為が続き延期に。
また名古屋市での「私たちの『表現の不自由展・その後』」も爆竹のようなものが送り付けられたことから「施設の安全管理のため」として中断となりました。
「表現の不自由展かんさい」も一度は会場の利用承認が取り消され、取り消し処分の執行停止を大阪地裁に申し立てて認められ、即時抗告されたものの棄却され、脅迫文などもありつつようやく開催にこぎつけたという経緯があります。
まさに紆余曲折と言うしかない「表現の不自由展かんさい」の現場を訪れました。
◆厳戒態勢の会場周辺、抗議の街宣はあるも特に混乱せず
会場前には整理券が配布される9時前から数百人が並ぶ長蛇の列に。列の先頭は7時ごろから並んでいたとのこと。
脅迫があったためか多数の警官が周囲を警備し、護送車も準備される厳戒態勢となっていました。
この時間帯はピリピリした空気こそあったものの、妨害行為や混乱はほぼ生じておらず、スタッフらが忙しく準備している状態でした。
展示が始まってからは、会場の対岸に「荒たま会」という在特会系団体の弁士が立ち、最近再び話題の「反日」というワードを連発する街宣を実施していました。
今回の展示を許可した大阪地裁をボロクソに叩いてみたり、かつて最高裁でも敗訴した京都での朝鮮学校襲撃事件を持ち出して不満をぶちまけるなど、特別目新しい論点はなく、ひたすら大声を張り上げている姿が印象的でした。
街宣側にいる人数は周囲の警察官などを除くと多く見積もっても10人程度とささやかなもの。行列ができて取材陣の詰めかけている展示会とのコントラストはなかなかに鮮やかなものでした。
次記事では展示会内部の様子をお伝えします。