紆余曲折の末に開催された「表現の不自由展かんさい」を訪れました。実際の会場の様子と展示についてレポートします。
開場を前に述べられた主催者側のコメントは、展示を見ずに「表現の不自由展」自体を潰そうとするのではなく、まずは自分の目で見た上で考えてほしいというもの。
見た結果として反感を抱いて批判するのも感想のひとつで表現の自由ですが、脅迫や爆発物、液体の送付などで暴力的に展示事態をなくそうとするのは表現の自由に反するものであると指摘しています。
展示された作品は基本的に「表現の不自由展・その後」を踏襲していますが、会場のサイズの問題や、他の展示会とのスケジュールの都合で断念した作品もあるということです。
こちらが今回の展示の中でも特に苛烈な反応を引き出している、慰安婦をテーマとした「平和の少女像」です。少女像の隣には空席の椅子があり、この椅子も含めて作品となっています。
「表現の不自由展かんさい」では来場者は少女像の隣に座ることができ、写真撮影をすることも可能です。少女像と一緒に写真を撮ってもらっている人、自撮りをしている人も多く見られました。その行為、そこで撮られた写真が何を意味するのかは、当人たちが今後確かめていくことになるでしょう。
なお、平和の少女像を日本への攻撃と捉えている人もいますが、「日本に向かって泣きさけんだり、攻撃する姿ではない」とされており、加えて「苦労して故郷にたどり着いた被害者を無視した韓国政府の無責任さ、韓国社会の偏見」も問うているとしています。
実際の従軍慰安婦の方のポートレートや平和の少女像をベースにした作品も見受けられ、この問題に関する表現の難しさを示しています。
こちらは従軍慰安婦に関する日韓合意をテーマとした在日コリアンの高校生の作品。本作を含む展覧会に対し、熊谷俊人千葉市長(当時)はテーマがふさわしくないとして補助金の交付を取りやめています。
これ以外でも差別に関する作品が多く、日本で表現活動を行う上で非常に機微なテーマであることが浮き彫りとなっています。
こちらは飲食店で香港からの土産物のお菓子の外箱と袋による作品。日本人社長が中国のものであることを理由に食べないとしたことをきっかけとしたものですが、中身の一部は作品として認められず拒否された経緯があります。
展示レポート後編では「遠近を抱えて Part II」などを見ていきます。
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