政府・与党が待機児童問題を巡って打ち出すとされる緊急対策が的外れだと批判されています。詳細は以下から。
「保育園落ちた日本死ね!!!」から話題になり続けている待機児童、保育問題。昨日野党5党が保育士の給与を1人あたり月額5万円引き上げる法案を国会に共同提出しましたが、これに対して政府・与党による提言は的外れなものでした。
まずは保育士の待遇改善として、全産業平均よりも月11万円ほど低い約20万円という賃金を4%アップさせるというもの。これは月額にして8000円程度。もちろん実際の賃金が15万円を下回る例も少なくないため、この数字は人によってはさらに少なくなります。最初に提示した2%アップよりはマシですが、保育士の窮状を救うにはあまりにも少なすぎる額です。
4%って、約8000円です。全産業平均から月額約11万近く低く、女性平均からも約5万円低い現状の是正に、8000円?それはないでしょう。 https://t.co/0t5zoVk1eD
— 駒崎弘樹:Hiroki Komazaki (@Hiroki_Komazaki) 2016年3月24日
さらに、むしろ待遇の改悪となるのがマンションの一室や空き店舗でも設置できる小規模保育所の定員を19人から数名緩和するという案。保育士の人数を増やさずに定員だけを拡大して子供を詰め込めば、労働環境は確実に厳しいものとなります。当然保育士の目が行き届きにくくなる分、事故に繋がる可能性も増大します。
これ以外にも機児童の特に多い地域を「待機児童解消特別地域」に指定し、保育施設の整備に対する財政支援制度を設け企業やNPOなどの新規参入を促す、保育の相談や空き施設の紹介を担う専門の相談員を増員するなどの案もありますが、どれだけ入れ物や枠を増やしたとしても、肝心の保育士が集まらなければ意味はありません。
そのための最優先施策であるはずの保育士の賃金上昇に対して、どうしてここまで否定的なのでしょうか?先日与党は介護職員の賃金を1万円上昇させる法案にも反対して否決してしまいました。
介護のために離職する人、保育園が見つからず復職できない人が減らなければ、安倍政権の掲げた「1億総活躍社会」の達成は到底見込めないのではないでしょうか?
保育士の給与4%増など 自公が緊急提言へ NHKニュース
小規模保育所の定員拡大へ 「保育園落ちた」で政府検討:朝日新聞デジタル
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