介護職員の賃金1万円アップの「介護・障害福祉職員処遇改善法」に与党が反対、否決される



低賃金が問題となっている介護職員の賃金を1万円上昇させることを盛り込んだ法案に自公が反対し、否決されました。詳細は以下から。


保育問題、介護問題が大きく取り上げられ、賃金や待遇の低さが問題になっている中、介護職員の賃金を(たったの)1万円上げることを盛り込んだ法案が与党の反対によって否決されてしまいました。

この法案は3月2日に民主、維新、共産、生活、社民の野党5党が共同で提出した「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案」。8日に審議入りしていましたが、自公が反対したことによって否決されたことを提出者のひとりでもある民主党の山井和則議員がツイートしています。






民主党の中島克仁議員が法案の趣旨説明を行い、介護・障害福祉従事者の賃金が月額で10万円程度低いことを指摘。「賃金を引き上げることができるよう介護報酬のプラス改定が求められてきたが、あろうことか安倍政権は2015年4月から介護報酬を2.227%も引き下げてしまった。それによって介護事業者に深刻な影響が出ており、介護分野の人手不足は深刻の度を増している。著しい人手不足によって、サービスの休止や事業所の廃止に追い込まれる事例も多く出てきている」と訴えていました。

この法案は人材確保のために賃金改善措置を行う事業者に助成金を支給するもので、介護・障害福祉従事者の賃金を月額平均1万円上昇させることなどを定めたもの。2014年に野党6党が介護・障害福祉従者の処遇改善を図るために提出した類似の法案は与党も賛成、全会一致で成立しましたが、今回与党は反対に回り、否決という結果に終わりました。

保育問題に関し、保育士の賃金を引き上げる法案は民主・維新案が1万円程度という極めて実効性に乏しいもので批判を浴び、政府案は4000円程度とさらに低いもので「誰も本気で取り組む気が無いのか」と失望の声が溢れたのは先日BUZZAP!でもお伝えしたとおり。

同様に大きな問題となっている介護問題について、決して褒められたものではない賃金1万円上昇の法案すら与党が反対に回り、否決に追い込んだことは驚きです。1億総活躍社会のために「介護離職ゼロ」を掲げた安倍政権ですが、介護職員の賃金や待遇を改善するつもりはないのでしょうか?

【衆院本会議】介護職員等の処遇改善法案、雇用保険法改正案について岡本議員が質問

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