危険だから除染したはずなのに、その除染廃棄物を公共事業の建築資材としてリサイクルする方針が示されました。詳細は以下から。
環境省は30日の有識者会合で、福島県内の除染で出た土などの廃棄物の処理を巡り、埋め立てなどで最終処分する量を減らすため、放射性物質の濃度が国の基準を下回ったものを公共事業の建設資材として再利用する方針案を示しました。
環境省の方針案は、放射性物質の濃度が1kgあたり8000ベクレルを下回った除染廃棄物を道路や防波堤などの公共事業の建設資材として利用できるようにするもの。放射性物質を取り除く処理を行えば、東京ドーム18杯にも上るとされる廃棄物の9割以上をリサイクルできる可能性があるとしています。
しかし残念ながら、との放射性物質を除去する処理の技術は確立しておらず、莫大な費用も掛かるとのことで、実際に運用されるとしてもモデル事業を行った上で9年後にどの程度の量をリサイクルするかを決めるとのこと。
確立されてすらいない技術を当て込んで放射性廃棄物をリサイクルする計画を立てる時点で無茶苦茶ですが、問題なのは「1kgあたり8000ベクレルを下回った除染廃棄物」という基準です。
環境省廃棄物・リサイクル対策部が出しているpdf文書でこの基準について明示されているのですが、8000Bq/kgという値は福島第一原発事故による放射性物質による汚染に対処するために作られた「放射性物質汚染対処特措法」に基づく指定基準であり、廃棄物を安全に処理するための基準です。ここで想定されているのは分別、焼却、埋め立て処分等といった一般的な処理方法。
一方、原子力発電所の解体等によって発生する金属やコンクリートを、人々が日常生活を営む一般社会で建設資材などとしてリサイクルすることを想定して作られているのが「原子炉等規制法」による基準。この法律で定められた廃棄物のクリアランス基準はなんと100Bq/kgなのです。
つまり、本来の放射性廃棄物のリサイクル基準は1kgあたり100ベクレルであるにも関わらず、環境省は福島第一原発事故の対策で作られ、焼却や埋め立て処分のための基準を記した「放射性物質汚染対処特措法」の基準である1kgあたり8000ベクレルをリサイクルのための数値として持ち出して来ているのです。
一時期、実際には特に汚染されていない岩手県の震災ガレキの受け入れ拒否が叫ばれる騒動がありましたが、この方針が確定すれば名実ともに日常生活の場での放射能に対する安全基準がなし崩し的に80倍にまで緩和されてしまうということになります。
除染廃棄物を建設資材に再生利用 環境省が方針案 NHKニュース
売り上げランキング: 21,076
・関連記事
丸川環境相「何の根拠もなく民主党政権が年間被曝量を1ミリシーベルトに決めた」→実は国際基準でした | Your News Online
栃木県塩谷町「鬼怒川水害で洪水になったから福一事故の処分場候補地は返上するよ」→環境省「返上はあり得ない!」 | Your News Online
再開から7ヶ月、福島第一原発直近の国道6号線の帰宅困難地域は現在どうなっているのか? | Your News Online
震災から3年5ヶ月、福島第一原発から10km圏の避難指示区域はどう変わったか再び訪れてみました | Your News Online
福島第一原発から10km圏の避難指示区域は今どうなっているのか実際に見てきました | Your News Online