日本政府、もんじゅ廃炉でも核燃料サイクルの夢を見続けることが判明


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昨日もんじゅ廃炉の方針を決めた日本政府ですが、核燃料サイクルの夢は諦めないことが判明しました。詳細は以下から。


政府は21日に首相官邸で原子力関係閣僚会議を開き、菅官房長官が高速増殖炉もんじゅについて「高速炉開発は、原発の新基準の策定など大きな情勢変化がある。本年中に、高速炉開発会議で、廃炉を含めて抜本的な見直しを行う」と表明。

もんじゅは再稼働すれば今後10年でさらに6000億円の税金投入が必要となり、政府は国民の理解が得られないと判断しました。しかし廃炉のためにもこれまでの運営者であった日本原子力研究開発機構の試算ですら30年の月日と3000億円がかかります。

それでもようやく1985年の着工以来、1兆2000億円の税金を食いつぶした見果てぬ夢にようやくピリオドが打たれるかと思われました。しかし、政府はもんじゅを廃炉にしてもなお、核燃料サイクルという夢を追い続ける方針であることが判明しました。

政府は同じ会議の中で、世耕経済産業大臣を中心とする「高速炉開発会議」を設置し、今後の高速炉開発の方針を年内にも策定することを確認。この会議にはもんじゅを所管する文部科学相に加え、運営主体であった日本原子力研究開発機構、さらには電力事業者や原子炉メーカーなどの民間事業者も参加する方向です。

世耕経産相らが目を付けるのはフランスで計画中の高速炉「ASTRID」。世耕経産相は「ASTRIDは日仏両国にとって意義ある重要なプロジェクト。日本はすでに参加しており、いろんな知見が得られている」と発言。実際に2014年5月の時点でASTRIDを含む高速炉の技術開発協力で日本はフランスと提携しています。

しかしASTRIDは2030年の運転開始が計画されてはいますが、現時点では基本設計段階でしかなく、資金負担や協力体制のあり方などについても不透明な点が多い状態。もんじゅの例を見れば計画の延期や変更などが発生する可能性もあり、文科省幹部からは「日本側が金づるになるだけでは」との懸念の声も出る始末。

さらに、ASTRIDは高速増殖炉ではなく高速炉という点にも注意が必要です。高速増殖炉はプルトニウムを生み出す技術であるのに対し、高速炉はプルトニウムを消費することが主眼となっており、日本の目指す夢の核燃料サイクル政策との整合性に大きな疑問符が付きます。

このような技術に莫大なリソースをつぎ込むことは、単に核燃料サイクル政策に絡む既得権益を守るための方便だと批判されても仕方のないもの。現在進行形で成果を上げ続けている再生可能エネルギーにより多くの税金を使い、研究と実用化を進める方がより大きな結果を出せるのではないでしょうか?

(時時刻刻)もんじゅ廃炉判断、やっと:朝日新聞デジタル

東京新聞_もんじゅ廃炉へ 政府、年内に結論 核燃サイクルは維持_政治(TOKYO Web)

「もんじゅ」代替高速炉の工程表、年内策定へ _ 政治 _ 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

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