今回の衆院選の立候補予定者のヘイトスピーチを記録、収集して公表するデータベースが公開されました。詳細は以下から。
「反レイシズム情報センター・ARIC」は10月22日に投開票される衆議院総選挙に合わせ、立候補予定者らがこれまでに行った差別やヘイトスピーチを収集した「2017衆院選ヘイト政治家データベース」を公開しました。
◆公人のヘイトスピーチを記録・収集して公開、その基準は?
このデータベースは基本的には「国会・地方議会議員(経験者及び立候補経験者含む)をはじめとした、国家・地方公務員、政府・自治体関連の審議会委員、大学教員を含む公人」の差別・ヘイトスピーチを収集、公開する意図でつくられていますが、今回投票の参考とするために衆院選の立候補予定者に絞ってリスト化を行ったもの。
ARICの定める差別(レイシズム)は1965年12月に採択され、日本は1995年に加入した人種差別撤廃条約第1条と2016年5月に成立したヘイトスピーチ対策法に依拠しています。人種差別撤廃条約第1条は
1 この条約において、「人種差別」とは、人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するものをいう。
(International Convention on the Elimination of All Forms of Racial Discriminationより引用)
としており、また、ヘイトスピーチ対策法では「生命や身体に危害を加える旨を告知し、著しく侮蔑するなど、外国出身者であることを理由に、地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動」とされています。
これに加えてARICは以下の3種類の行為をレイシズムと位置づけています。
1)人種差別撤廃条約第四条で法規制が義務付けられているヘイトスピーチ(差別/レイシズム煽動)
2)上記1)の効果を持つ歴史否定/修正主義
3)「政治家」個々人の「レイシズム」を時系列的・継続的に監視する上で関連する同条約第一条「人種差別」以外の一般的な差別
(政治家レイシズムデータベース:定義とデータ公開の原則 _ 反レイシズム情報センター(ARIC)より引用)
1はヘイトスピーチの和訳として一般的になった、他者の差別感情を扇動する「差別扇動表現」であり、2はアパホテルによる南京大虐殺否定論のような「歴史修正主義」を指します。3はデータベースを見ていくと分かりますが、女性差別、障害者差別、LGBT差別などの事例が対象となっています。
◆ヘイト1位は自民党候補の杉田水脈、続くのは?
杉田水脈元議員といえば、衆議院議員時代に「男女平等は、絶対に実現しえない反道徳の妄想」などと国会質問の中で発言して批判を浴びていましたが、落選後には「生産性のあるものと無いものを同列に扱うには無理があります」としてLGBT支援策を不要と断じた人物であることBUZZAP!でも以前お伝えしたとおり。
リストを見てみると歴史修正主義に蓮舫氏の二重国籍問題、従軍慰安婦、在日コリアンなど、ヘイトの数え役満状態となっています。
第2位は「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!」というブログ記事で仕事を失いつつも維新の党から出馬されると噂の長谷川豊。
BUZZAP!では長谷川豊が南京大虐殺否定のデマ本を客室に配備していたAPAホテルを全力で擁護した上に自らも南京大虐殺否定論を唱えていたことを指摘しています。
リストを見るとこれに加えて山口敬之によるジャーナリストへの昏睡レイプ事件に絡んだ女性差別も行っていることが分かります。
第3位にはフェイクニュースサイトNetgeekの「泉放送制作のせいで民放が偏向報道」というデマ記事を拡散して謝罪に追い込まれた自民党の長尾敬議員。この際に南京大虐殺否定論を撤回しろという批判に対して以下のように返答、歴史修正主義者ぶりを存分に見せつけています。
あったという証明がなされていない以上、削除をする事は出来ません。お断りいたします。
— 衆議院議員 長尾たかし (@takashinagao) 2017年9月4日
(魚拓)
南京大虐殺はありませんでした。
— 衆議院議員 長尾たかし (@takashinagao) 2017年9月4日
これが私の理解です。
(魚拓)
これに加えて従軍慰安婦、沖縄に対する差別も行っています。
そして第4位には行政府の長である安倍晋三内閣総理大臣の名前が上がっています。リストに挙げられているものには従軍慰安婦に関連するものが多く、第二次世界大戦の戦犯に関するものも。
この後のランクに稲田朋美、高市早苗、麻生太郎と自民党の閣僚経験者がずらりと並んでいることも特徴的です。
いったいこれらの政治家のヘイトスピーチがどのようなものなのか。自分の選挙区からの立候補予定者の分だけでもチェックして投票行動の参考にしてみるのがよさそうです。
2017衆院選 ヘイト政治家データベース
「ヘイト政治家データベース」学生団体が公開 衆院選の立候補予定者の差別・ヘイトスピーチを紹介
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