【コラム】産経と幸福の科学が目論んだ自称保守系イベントでのスティーブン・バノンの招聘に踊らされた人々



幸福の科学と産経がタッグを組んだ自称保守イベントが開催されました。詳細は以下から。


◆幸福の科学と産経新聞とアメリカ保守の強固な繋がり
幸福の科学と産経、一見無関係なように感じる人が多いかもしれませんが、極めて深い繋がりがあり、その繋がりを最大限に活用してトランプ大統領のクビになった元側近を日本の自称保守系イベントに招聘していました。

そのイベント名は「J-CPAC2017」。アメリカ合衆国で開催される保守系イベント「CPAC」の日本版であり、今年の12月16~17日に初めて開催されました。

この「J-CPAC2017」を開催にこぎ着けた立役者となるのがアメリカ合衆国最大の共和党支持組織「アメリカ保守連合(ACU)」の日本側のパートナー組織である「一般社団法人JCU」の議長であり、幸福の科学の率いる政党「幸福実現党」の初代党首である「あえば直道」(魚拓でした。

あえばは2016年と2017年のアメリカ合衆国でのCPACでそれぞれ講演を行っています。下記動画はCPAC2017での講演の模様で、2017年秋にJapan CPACを開催する計画であると述べています。


「一般社団法人JCU」の公式サイトには『J-CPAC2017』に、弊団体が実行委員会メンバーとして参加いたします」(魚拓と記されており、まさに中核を担っていることが分かります。

本人の12月14日のブログポストでも『アジアの未来を考える』というセッションで司会を務める事を明らかにしており、特別チケット「アエバ・スペシャル」まで発行しており、運営の極めて中枢にいることが見て取れます。

一方、この「一般社団法人JCU」の創始者の江口峻という人物は産経新聞社取締役魚拓)、日本工業新聞社代表取締役会長魚拓)、フジサンケイビジネスアイ代表取締役会長魚拓)を歴任。2012年には産経新聞社相談役となり、2015年にあえばと共に「一般社団法人JCU」を創立し、代表理事となっています。

ここまでならまだ産経OB個人の話と言えるかもしれませんが、「一般社団法人JCU」はCPAC2016において「全米最大級の政治イベントCPAC2016日本初となるJAPANブースの協賛企業を募集いたします」(魚拓)というキャンペーンを打っており、この企画・運営を行っているのが産経新聞社傘下の産経広告社なのです。

さらには「J-CPAC2017」を開催するJ-CPAC事務局の住所も堂々と



東京都千代田区神田小川町1-1
日幸神田ビル7階(産経広告社内)

J-CPAC2017 _ Japanese Conservative Political Action Conferenceより引用)(魚拓


と明記されています。さらに、幸福の科学出版株式会社が発行する月刊誌「ザ・リバティ」のウェブ版でもこの「J-CPAC2017」に関して「トランプ氏側近のバノン氏が講演 『日米の繁栄が中国の脅威を乗り越える鍵』」とうバノンを褒め称える詳細な記事が掲載されています。

幸福の科学と産経新聞がタッグを組んで、トランプ大統領のクビになった元側近のスティーブン・バノンを自称保守系イベントに呼んだという意味がお分かり頂けたでしょうか?

◆スティーブン・バノンという鼻つまみ者の差別主義者
スティーブン・バノンがどのような人物かについては今回の来日に合わせてハフィントンポストが詳細な記事を掲載していますが、極右ニュースサイト「ブライトバート・ニュース・ネットワーク」の会長であり、白人至上主義者で反ユダヤ主義者で女性差別主義者として知られています。


大統領選挙の際にはトランプ陣営の最高責任者を務めつつ共和党の他の候補も攻撃していることから、共和党内部からも鼻つまみ者扱いされている人物でもあります。日本の自称保守界隈と親和性の高そうなことこの上ありません。

また、バノンの率いるブライトバートがフェイクニュースの拡散に荷担していたことは有名で、移民に絡めて1000人の暴徒が警察を襲撃。ドイツ最古の教会に放火などというタイトルの引用記事を掲載していたことがクローズアップ現代のフェイクニュース特集でも言及されています。


バノンはトランプ大統領誕生後は首席戦略官と上級顧問という異例の厚遇を受け、「国家安全保障会議(NSC)」の常任メンバーに指名されながらもわずか3ヶ月で解任。8月には首席戦略官と上級顧問からも外され、事実上失脚してブライトバートに出戻りしています。

また、バノンが12月12日に投開票され、アラバマ州の上院補選で民主党候補に衝撃的な敗北を喫した共和党のロイ・ムーア候補を強力に応援していたこともあり、共和党内部からはバノンを排除すべきだという強い批判が浴びせかけられています。

つまりバノンはアメリカ合衆国民主党どころか共和党内部からすら排除すべきとされており、実際にホワイトハウスから放逐された人物であり、それらに言及せずに使う「トランプ米大統領の元側近」という表現自体がこうしたプロセスとその理由に目を瞑った一種のフェイクだということはよく理解しておくべきです。

◆「J-CPAC2017」に踊った人、踊らされた人
さて、この曰く付きの自称保守系イベント「J-CPAC2017」で踊ったのは誰なのか、そして踊らされたのは誰なのでしょうか?

バノン以外の登壇者として、海外からはアメリカ保守連合(ACU)のマット・シュラップ議長が来日している以外はFOXニュースコメンテーターであるゴードン・チャン程度ですが、日本からは自称保守界隈のお馴染みの面子が勢揃いしています。

その筆頭はヒゲの隊長こと佐藤正久外務副大臣であり、デマゴーグの百田尚樹であり、元航空幕僚長の田母神俊雄。中でも現役の外務副大臣が登壇している事は極めて印象的です。


他には「チャンネル桜」でもお馴染みの、泉放送制作デマに釣られた評論家の西村幸祐をはじめ、石平金美齢小川榮太郎といった自称保守界隈の面々の名前が並びます。

彼らが踊った側だったとすれば、踊らされたのはなんといっても日本の民主党崩壊の主犯である前原誠司。バノンとの夕食会に参加して感銘を受けたと明言し、がっちり握手した写真をツイッターで掲載するという数え役満っぷりです。



さらには自民党の河井克行総裁外交特別補佐も18日にバノンと会談。北朝鮮の金正恩を「冷静、合理的な指導者だ」と評し「米国のレッドライン(譲れない一線)を越えることはない」と指摘する一方、中国脅威論も振りまいています。河井氏はバノン氏はトランプ大統領に対し大きな影響力を持っていると思われるので、今後もしっかりと意見交換を続けていきたいなどと記者団に発言しており、完全に踊らされています。

加えて多くのメディアも今回のバノン訪日を「トランプ米大統領の元側近」として報じています。産経新聞がバノンに好意的な記事を掲載するのは「J-CPAC2017」主催側の立場である以上不思議なことではありません。

しかし、バノンがフェイクニュースだと名指ししたにもかかわらずNHKは前首席戦略官との肩書きで「米 バノン前首席戦略官 中国の巨大経済圏構想に警戒感」「米 前首席戦略官「日米連携し北朝鮮に圧力強化を」 とした2本の記事を掲載。朝日新聞は「トランプ米大統領の最側近だった」バノンが「(中国は)我々を経済的に侵略しており、米国は中国の属国になってしまった」と語ったとしています。

毎日新聞も「米国:『中国の属国』 バノン氏、歴代政権を批判」とした記事の中で「トランプ米大統領の側近とされるバノン前首席戦略官兼上級顧問」と現在も強い影響力を保っているとの認識。

フジテレビテレビ朝日、読売テレビ、TBSなどもそれぞれインタビューを行って放映するなどまるでVIP扱いで厚遇しており、TBSに至っては「独占証言「大統領の胸中知る男」、意外な素顔“実は親日派”」などという日本人の「日本スゴイ欲」をくすぐる極めて恥ずかしい構成を行っています。


アメリカ合衆国では、トランプ陣営以外ではオルタナ右翼からしか見向きもされず、共和党内からも毒虫のように嫌われる差別主義者を嬉々として迎え入れ、要人であるかのように厚遇する日本の政治家とメディア、世界からはいったいどのように思われているのでしょうか?

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