東電「メルトダウン認めなかったのは民主党政権の指示」は大嘘で当時の社長判断だった


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民主党政権に責任をなすりつけようとした大嘘吐きだったとする調査結果が公表されています。詳細は以下から。


2011年3月11日に発生した東日本大震災。その翌日から立て続けに発生した福島第一原発の3機の原子炉のメルトダウン。チェルノブイリに勝るとも劣らない人類史上最悪の原発過酷事故であることは今更改めて指摘するまでもありません。

◆メルトダウン公表遅延と上塗りされ続けた嘘

しかし、東京電力は事故後2ヶ月以上メルトダウンが起きたことを頑なに認めませんでした。ではいったいどういった経緯で東電はメルトダウンを認めなかったのでしょうか。

東京電力は当初は「判断の根拠がなかった」などという意味不明な説明を繰り返していましたが、事故から5年近くが経った2016年2月に炉心損傷割合が5%を超えていればメルトダウンと判定すると記したマニュアルが社内の調査で見つかったことを公表。ひたすら嘘をつき通して言い逃れを計っていたことが判明しました。

これを受けて東京電力は外部の弁護士らでつくる委員会を設置して遅延の経緯を再調査。2016年6月に事故当時の清水正孝社長が当時の民主党政権の官邸からの指示で「メルトダウン」や「炉心溶融」という言葉を使わないよう指示していたという検証結果をまとめました。

しかし、これに対して民進党は指示や要請をしたことはなく、明らかな事実誤認だと激怒して抗議。東電柏崎刈羽原発を擁し、福島第一原発の事故の検証なしに再稼働の議論はできないとする新潟県が東京電力と合同でつくった検証委員会は問題の全容が解明されていないとして清水元社長ら当時の幹部への聞き取りを行い、具体的に指示をした人物の特定や指示の内容について調査を続けていました。

◆結局東電の大嘘だった事が判明
その結果、当時の民主党政権の官邸からの指示があったのは完全に大嘘で、あくまで当時の清水正孝社長が独断でメルトダウンを頑なに認めなかったとする調査結果が12月26日に公表されました。

事故発生から5年近くもマニュアル不在という嘘を吐き続け、マニュアルが発見された後は外部の弁護士を使って当時の民主党政権に責任をなすりつけ、ただひたすらに責任を回避しながらほとぼりが冷めるのを待ち続けてきた東京電力の極めて卑劣な姿勢が明確に見て取れます。

2017年は神戸製鋼を筆頭に日本の伝統的大企業の嘘と偽装と隠蔽の体質が暴かれてきた1年でもあったわけですが、最後の最後で東京電力が人類史上最悪の原発過酷事故である福島第一原発事故に関して国民全員、さらには世界に対して嘘と偽装と隠蔽を行ってきたことが明確に示されることになりました。

東京電力はこの期に及んでも福一の廃炉費用を税金からの支援を求め、原発推進を明言して債務保証や環境整備を政府に要求するという態度を崩していません。嘘と偽装と隠蔽に満たされたこのような企業に原発をコントロールできるのでしょうか。そして次の過酷事故が起きた時、果たして東電は今回以上に誠実に対応することが望めるでしょうか?

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炉心溶融認めず 官邸ではなく当時の東電社長判断 _ NHKニュース

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