時給で働く非正規社員も裁量労働で無限に働かせてもいいと政府が考えていることが明らかになりました。詳細は以下から。
政府は2月6日の閣議で、今国会に提出予定の働き方改革関連法案に盛り込まれる裁量労働制について、「契約社員や最低賃金で働く労働者にも適用が可能だ」とする答弁書を決定しました。
つまり働き方改革関連法案では雇用形態や年収に関する要件はなく、対象業種であれば正規雇用であろうと非正規雇用であろうと経営者側が適用させたいと考えればいくらでも適用させられる事になります。
裁量労働制は実際に働いた時間にかかわらず、事前に労使で取り決めた分だけ働いたと見なす制度。過酷なノルマの達成を対象者に課せば取り決め分だけの残業代で無限に働かせることが可能となってしまいます。
また大きく誤解され、メディアによってミスリードされていますが、この法案では上げた成果に応じて報酬を支払う「成果報酬制」の導入は盛り込まれておらず、ただただ定額で苛烈な長時間労働を強いられる可能性が極めて高いものとなっています。
基本的に裁量労働制は指示を受けずに仕事の進め方を決めることができる人を対象としているものの、実際に裁量がない人にも拡大される恐れがあるとして野党は徹底的に批判しています。そもそも論になりますが、「指示を受けずに仕事の進め方を決めることができる非正規雇用者」がどれだけいるのでしょうか?
実際に2017年末には厚生労働省東京労働局は12月26日に、裁量労働制を適用が認められていない社員に対して不当に適用し、残業代を支払わずにただ働きさせたとして不動産大手の野村不動産に是正勧告を出したことを発表しており、法案が成立すればこうしたブラック労働が今以上に蔓延することは間違いありません。
政府は事業運営の企画などを担う「企画業務型」の対象業種拡大を法案に明記する考えとされていますが、仮に時間給で働く非正規雇用者にもこの裁量労働制が適用された場合、ただですら低賃金、低待遇で正規雇用よりも年収が300万円以上低いという格差と貧困がさらに拡大していくことになります。
給料が固定されたまま、これまで以上に牛馬の如く働かされたとすれば、現在貧困にあえぐ国民にとってはもはや健康的で文化的な最低限度の生活を営むことは極めて困難になります。
ここまで疲弊させられてもなお日本国民が元気に消費活動を行い、結婚して子供を産み育てることができると政府は考えているのでしょうか?
契約社員も裁量労働に 「適用可能」と政府答弁書 - 共同通信
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