「リアル宇予くん」と共に文科省に「照会」を行った議員に絡む国有地売却事案がありました。詳細は以下から。
文部科学省が名古屋市教育委員会に対して前川喜平・前文部科学事務次官の中学校での講演内容について録音データの提出や詳細を報告を求めた問題で、毎日新聞がもうひとりこの照会をおこなった議員として名指ししたのが赤池誠章参院議員です。
前記事で「リアル宇予くん」であることを説明した日本青年会議所(JC)元会頭の池田佳隆衆院議員は自民党の文科部会長代理でしたが、こちらの赤峰議員は文科部会長ということで開いた口のあごが外れそうですが、実はこの人物には非常に興味深い経歴があります。
◆憲法破棄と自主憲法制定を目論む「創世『日本』」メンバー
まず、赤池議員は日本会議国会議員懇談会の事務局次長であり、池田議員と同じように神道政治連盟国会議員懇談会、みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会に所属する自称保守界隈の自民党議員。自らの公式サイトの「政策」にも以下のように明記しています。
自民党立党の使命は、日本弱体化を目指した占領政策によって策定された諸制度の見直しでした。改めて立党の原点を確認し、自主憲法を制定し、総理は靖国神社に参拝すべきです。国家の名誉を傷つける河野談話(事実ではない「従軍慰安婦」を容認)や、村山談話(「侵略国家」認定)を撤回し見直すべきです。
(「赤池まさあき Official Site 理念・政策」より引用)
稲田朋美元防衛相が会長を努め、設立総会で「日本とは物質的優位ではなく道徳的優位により世界から尊敬される 「道義大国」でなければならないと思います」とぶち上げた政策勉強会「伝統と創造の会」でも事務局長を努めるなど積極的な動きを見せています。
さらに赤池議員は安倍首相を会長として「夫婦別姓や永住外国人地方参政権など」を「家族や国の骨格を危うくする政策」として「戦後レジーム」の脱却と「真・保守主義」を目指す組織である「創世『日本』」の会員でもあります。
「創世『日本』」は自民党改憲草案が発表された直後の2012年5月10日の研修会での「憲法改正誓いの儀式」で、長勢甚遠元法務相が「国民主権、基本的人権尊重、平和主義。この3つはマッカーサーが日本に押し付けた戦後レジームそのものじゃないですか。この3つをなくさなければ真の自主憲法にはならない」(以下動画の15:26~)という衝撃的な発言を行っています。
また、同じ場で稲田朋美前防衛相は「前文に『私たちの国は私たちで守りません』などと嘘の書いてある憲法は今すぐ破棄をして、自主憲法を制定しなければなりません」(6:53~)、西田昌司参議院議員も「憲法ははっきり言いまして廃棄すべきなんですよ」(19:00~)と明言しています。
創生「日本」東京研修会 第3回 平成24年5月10日 憲政記念会館 - YouTube
赤池議員の理念や政策がいかに安倍首相や稲田元防衛相らと近いものであるかはこの辺りを俯瞰してみれば一目瞭然です。
◆当選前は「第3の森友学園」の学校長でした
ここまでなら池田議員と同じで単なる自称保守界隈の自民党議員ということになりますが、赤池議員の当選前の経歴は学校法人「日本航空学園」の日本航空総合専門学校(現・日本航空大学校山梨)の学校長というものでした。
ここでいったん話は3月19日に太田理財局長を「いくらなんでも」と茫然自失にさせた自民・和田正宗議員の国会質問に飛びます。
和田議員は質問の中で「文書に伝聞形で書かれているということで証人喚問に呼べと言うならですね、山梨のある学校法人が格安で国有地の払い下げを受けた案件はこれはどうなるんでしょうか」と述べましたが、ここで言われる「山梨のある学校法人」が日本航空学園です。
和田議員は「この学校の保護者の会の連合会長は野党のある国会議員(編集部注:民進党の大島九州男議員)です」と指摘した上で、「まさか関与はしてないと思いますけれども、名前があるので関与をしている可能性があるから証人喚問ということになればですね、これはおかしなことになるというふうに思っております」と指摘。
しかしその学校法人で以前学校長を努めていたのが今回問題になっている自民党の赤池議員だったという、ちょっとできすぎたお話になっています。
この国有地売却問題は2018年1月8日に毎日新聞がスクープしたもので、学校法人「日本航空学園」が山梨県内の国有地を約50年無断で使い続け、管理する財務省関東財務局も把握しながら放置した末、2016年5月に評価額の1/8で売却していたという極めて由々しい案件です。
2012年に会計検査院が国有地の処理促進を提言して財務省関東財務局は土地価格を約7180万円と算定したものの、学園側は民法の「時効取得」を盾にして無償譲渡を主張。結果的に2016年5月に減免措置を適用して875万円で売却され、使用料についても計約161万円しか徴収されていません。
こうした経緯から日本航空学園への国有地売却問題は「第3の森友学園」案件との指摘がされています。毎日新聞は本件を「ずさんな管理と不透明な取引の実態」と指摘していますが、「第3の森友学園」ではないかとされる所以はこれだけではありませんでした。
日本航空学園の梅沢重雄理事長は自称保守界隈御用達の「日本文化チャンネル桜」の設立発起人のひとり。そして公式ブログでは教育勅語の素晴らしさをシリーズで蕩々と語り、2014年には「人生でいちばん大切な10の知恵 親子で読む教育勅語」なる書籍も出版しています。
この人物がいわゆる自称保守界隈と思想を同じくすることは改めて指摘するまでもありませんが、校訓にも「敬神崇祖以て伝統を承継し祖国を興隆すべし」とあり、理事長ブログにも
学園では、毎日の朝礼時に国家「君が代」とともに日の丸を掲揚し、夕方には国旗降下を行います。このときには、教師も生徒も直立不動の姿勢で国旗に敬礼します。
(「?十章 国を豊かにするために何ができるか<義勇>?国を思うとはどういうことか _ 『雄飛台』 日本航空学園 理事長 梅沢しげお(うめざわしげお)ブログ」より引用)
とあるように、学校をあげて右翼教育が行われているところも森友学園そっくりです。なお、この梅沢重雄理事長は2013年7月の第23回参議院議員通常選挙にみんなの党から立候補(落選)したという、和田議員の同党・同期の候補者でもあります。
これに加えて自民党の米田建三元衆議院議員(編集部注:2014年にも出馬してますが落選)が日本航空学園の理事・教育顧問を努めています。これを落選中の議員が「浪人中にお世話になる」話と考えれば、どうしても加計学園での安倍首相や萩生田光一副官房長官らの事例とオーバーラップしてしまいます。
また、加計学園で安倍首相と同じように監事を努めた木澤克之氏が第2次安倍内閣時代の2016年7月に慣例を崩す形で異例の最高裁判事へと抜擢されたという事例を思い出すと、右翼教育を行う日本航空学園で学校長を務めた赤池氏が自民党議員として政界に入り、「創世『日本』」のメンバーとなり、前川前事務次官の授業に「照会」を行っている現状はなかなかに感慨深いものと言えます。
なお和田議員が言及する、ここに名前の上がった人物らの証人喚問に異論を唱える野党議員や国民は少ないと思いますので、森友学園問題で昭恵夫人らの証人喚問実現の後に赤池議員、大島議員、米田元議員、梅沢理事長らの証人喚問もぜひとも実現し、「第3の森友学園」の汚名をそそいでいただきたいところです。
文科省:前川氏授業データ要求 名古屋市教委への質問添削 自民文科部会幹部、複数回照会 - 毎日新聞
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