資本金10億円以上の大企業の73%「安倍首相続投が望ましい」



安倍内閣の支持率が現時点でも30%超という高水準を保っている一因が浮き彫りになりました。詳細は以下から。


◆大企業の7割超が安倍続投を希望
ロイター通信は4月4~17日に資本金10億円以上の大企業400社を対象(回答社数は220社程度)とした企業調査を実施しました。

この結果によると、大企業の73%が安倍首相が自民党総裁に3選されることを望ましいと回答しています。その理由として挙げられてるのが

「政策が大きく変わらないことが経済の安定をもたらす」(金属製品)
「景気対策を実施しているから」(輸送用機器)
「業績、女性活躍、インバウンド効果など、効果が出ている」(建設)
「経済重視の方針は有利に働く」(卸売)



といったもの。TPPから消費増税まで政策は「新しい判断」によってコロコロと変わっていますし、8割の人が景気回復を実感できていないのは先日お伝えしたとおり。女性活躍に関しては育児問題やセクハラ問題の現実を見ていると、どこに効果が出ているのか全く不明です。


調査では、次の政権の形についても安倍首相続投が60%と過半数を取得し、安倍首相以外による与党政権が34%となり、自民党政権の継続を求める声が圧倒的です。

次期首相候補としても安倍首相が52%と過半数を占め、石破茂氏が17%、小泉進次郎氏が13%、岸田文雄氏が11%、河野太郎氏が2%などとなっており、大企業の安倍首相支持の姿勢が極めて明確になっています。

◆世論調査では支持率は続落中
とはいえ、世論調査では安倍内閣の支持率はどこの調査を見ても続落中。毎日新聞では前回から3ポイントダウンの30%となり、読売新聞でも3ポイントダウンで39%となり、となり過去2番目の低さ。

産経新聞社とFNNの調査ですら前回から6.8ポイント下落の38.3%となっており、森友学園問題や加計学園問題、公文書改ざん問題、自衛隊日報問題、財務事務次官セクハラ問題など、近代民主主義国家の屋台骨をへし折る諸問題に加え、「責任を取る」という責任者の当たり前の義務を放棄する姿勢に極めて厳しい視線が集まっています。

しかし、大企業にとってはそんなことはどうでもいいようです。


◆大企業優先の経済政策による当然の帰結
いったいなぜ世論調査の数字と(大)企業調査の結果がここまで異なるのでしょうか?その理由は安倍政権の経済政策の果実を誰が食べているのかを見ると一目瞭然です。

日経新聞は2018年1月の記事で、経済協力開発機構(OECD)の調べによると、物価の影響を除いた各国通貨ベースでの実質賃金はG7うち、日本だけが00年よりも低い水準に留まっていると指摘しています。

そして同じ記事の中で「大企業の賃上げ率は4年連続で2%を超える」とし、「上場企業は18年3月期に2年連続の過去最高益を見込む」事にも触れています。

つまり、上場企業を中心とした大企業は過去最高益を見込み、賃上げ率も上々ながら、それ以外の中小零細企業が賃上げを実施できない窮状が続いているということ。

日本の421万企業のうち中小零細企業99.7%を占め、従業者数でも7割を占めているわけですが、そうした中小零細企業や自営業者、フリーランスの多くが景気回復を実感できていない中で政府の経済政策が大企業に偏重している事がまざまざと浮かび上がってきます。

大企業のロビイング団体として知られる経団連が時間外労働の上限規制を過労死ラインの80時間を20時間超える100時間にしろと要求したことは今更指摘するまでもありませんし、大紛糾した「働かせ方改革」の裁量労働制の拡大や高度プロフェッショナル制度の導入を強く推し進めているのも経団連です。


日本の誇る自動車産業の大手10社のうち7社が非正規雇用の無期転換ルールに対しても「6ヶ月以上の無契約期間があれば無期転換しなくてもよい」という抜け穴を使って脱法的に低賃金低待遇のまま従業員を使い潰そうとしていますし、日本郵政も「同一労働同一賃金の達成のために正社員の手当廃止するという本末転倒な方針をとっています。

要するに大企業は安倍政権に優遇されて成長を続けていながらも、規制を骨抜きにしては企業利益のみを追求しており、安倍政権としてもそうした違反を正面から取り締まるつもりがないどころかさらに大企業に有利になるような方針をとり続けています。

つまり民主主義が壊れようと、(本来ならば消費者でもあるはずの)日本国民が低賃金低待遇の長時間労働で疲弊しながら貧困の中で喘ごうと、大企業にとっては痛くも痒くもなく、企業利益を増進させてくれさえすればいいという姿勢が如実に表れていると言えるでしょう。

果たしてこのような国が「再生」することはあるのでしょうか?

ロイター企業調査:安倍首相続投「望ましい」73%、安定重視

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