社員の「やる気偏差値」を格付けして投資家に提供するビジネスが爆誕



売り上げや利益と違っていくらでも水増しができてしまいそうですが…?詳細は以下から。


◆社員の「やる気」を指標化
NHKによると、東京の経営コンサルティング会社「リンクアンドモチベーション」が各企業の社員の「やる気」を指標化して投資家らに公表しようという取り組みを始めています。

「やる気」の指標化は、社員に会社の組織風土や制度、職場環境などおよそ130の質問をして「満足度」と「期待度」を5段階で評価してもらい、結果を偏差値として算出。

「満足度」に加えて「期待度」も尋ねることで社員が会社や上司などに求めていることや、社員がやる気を落としている要因などを分析できるとしています。

この「やる気」の偏差値の格付けによって、売り上げや利益などからは分からない会社の状態を投資家に提供します。


同社の小笹芳央会長は「社員のやる気は経営陣も投資家にとっても重要な要素だが、決算書などでは見ることができない。多くの企業にニーズがあると思う」としており、2025年までに300社に公表してもらうことを目指して各社に働きかけを行っていくとのこと。

◆導入されると何が起るのか
実際にこの「やる気」格付けを公表するとなるといったい何が起こるのか、NHKはその例も報じています。

野党叩きや嫌韓を煽るブログ記事やYouTube動画などが1本数十円で大量に発注されていたことで有名なIT企業「クラウドワークス」はこの「やる気」格付けを公表しています。

同社の吉田浩一郎社長は「財務指標上は利益が出ていなくても、社員の意識はとても高いということを投資家の方に知ってもらえると思い、指標の開示を決めた。採用活動にもつながると思う」と話しています。

同社は2017年3月に初めて調査を受けた時、偏差値は47.1で格付けは11段階の下から5番目の「CCC」。

この調査で社内コミュニケーションに問題が生じていることが分かったとして社長が全社員に話をする朝礼を月に一度から週に一度に増やし、上司と部下が仕事以外の話を気軽に話し合う面談も週に一回程度設けました。

その結果、2018年6月の調査では偏差値が68.2、格付けもいちばん上の「AAA」に改善したとのこと。


ここから分かる「やる気」格付けを財務指標に代わるアピールポイントとして示すことの問題は、それが売り上げや利益などと違って「社員の意識」だけでいくらでも上げられてしまうことにあります。

つまりビジネスとして全く結果を出せていないにも関わらず、異様に「やる気」格付けだけが高い会社ができてしまう可能性があるのです。

クラウドワークスの改善策の実態を知ることはできませんが、ほんの1年3ヶ月で真ん中以下から最上位にまで上り詰められてしまう「格付け」にどの程度の信頼性があるのか、まずはよく考える必要があります。

また、日本社会の同調圧力の強さはこの社会に生きている人であれば社会人でも学生でも少なくとも感じた事はあるでしょう。

もし仮に社員らが社長を始めとした上司から「やる気」格付けが投資家にアピールすると説明され、会社のためにアンケートでポジティブな回答をするよう明に暗に圧力を掛けられたとしたら、果たしてこの「格付け」が示すものはいったい何なのでしょうか?

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