【コラム】キャッシュレス決済の経費清算が「データの領収書だけ」でOKに、注意すべきポイントは?



ようやくデータの領収書が税務申告で認められるようになりますが、まだいろいろと条件が付けられそうです。いったいどのような方針なのでしょうか。


◆データの領収書だけで税務申告が可能に
自民党政権が税制改正の一環として、2020年度の税制改正大綱に電子帳簿保存法の施行規則を見直す方針を盛り込むことを日経新聞が報じています。

それによると、クレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済による経費精算において、税務申告に必要な領収書を紙で保存しなくても良いことにする方針とし、2020年4月からの実施を目指すとのこと。

これまでは企業が領収書をデータで保存する際には紙の領収書をカメラで写してデータにするという行程が必要でしたが、これからは領収書をデータで発行し、取引内容や金額、日付などの決済データそのものを領収書として扱えるようになります。

なお現在は、領収書のデータ保存を認める条件として、情報改ざんを防ぐための厳しい内規を作ることなどが義務づけられており、大半の企業は念のため紙の領収書も保存しているとのこと。便利なようで却って二度手間にもなっている様子が分かります。


今後は改ざんを防ぐため、外部からのデータ書き換えができないクラウドサービスでデータを管理することを条件とするとしています。さて、運用されると実際にはどのように変わるのでしょうか?

◆キャッシュレス決済の対応は?
「データの領収書だけ」でOKになる条件として示されているのが、データを改竄されない堅牢性です。

もちろんこの「外部からのデータ書き換えができないクラウドサービスでデータを管理すること」は各企業ではなくクレジットカードや電子マネー、〇〇ペイなどの事業者側の対応を指します。

とすれば、利用する側としてはどのサービスが安全で堅牢かという判断が重要になってくるでしょう。事業者側としても、決裁情報をどれだけ手軽に提示できるかがサービスの重要な部分を占めることになります。

ここで注意しなければならないのが「サービス終了」の可能性です。税務申告に使った領収書は7年間は保管しなくてはならない決まりとなっており、データの領収書であってもこれは変わりません。

つまり、利用中に勝手に規定を変えられて決済情報を削除され、「復元は不可能だ」と言われてしまうようなサービスを利用するわけにはいかないということ。

私たちは今年の夏にセブンペイが一瞬のうちに瓦解してサービス終了となる現場を目撃しましたが、こうしたトラブルが再び起きない保証はどこにもありません。


事業としてキャッシュレス決済を選択する際、果たしてその信頼はどの程度どのような形で担保されるのかを考えなくてはなりません。

もちろんキャッシュレス決済であっても紙のレシートや領収書が発行されるケースもあるため、冗長性として両方を保持しておくという選択肢もありますが、そうなると今回の方針変更は特に変化をもたらさないことになります。

またこれは制度の問題ではありませんが、企業によっては「社風」として敢えてこうしたデータの領収書を用いずに紙の領収書を管理していく方針をとることも考えられます。

ということで、現時点では日本のキャッシュレス決済自体がまだ十分に浸透していないため、今後の展開を確定的に予測することは極めて困難です。

しばらくの間はデータの領収書を導入しつつも、紙の領収書も可能な限りバックアップとして保持しておくという、ある意味これまで通りのやり方を続けていくのが無難ということになりそうです。

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