「反社会的勢力を定義するのは困難」桜を見る会の参加者問題で閣議決定、第一次安倍政権で自ら作った定義をひっくり返す



反社会的勢力との繋がりを指摘され、活動自粛や引退を迫られた芸能人たちの立つ瀬がなくなってしまいますが…。詳細は以下から。


◆反社会的勢力の限定的・統一的な定義は困難と閣議決定
安倍政権は12月10日、「反社会的勢力」の定義についてその時々の社会情勢に応じて変化し得るものであり、限定的・統一的な定義は困難だとする答弁書を閣議決定しました。

これは「桜を見る会」に反社会的勢力が参加していた事に対し、菅官房長官が反社会勢力の「定義が一義的に定まっているわけではない」との発言を受けた立憲民主党の初鹿明博衆院議員の質問主意書に答えたもの。

政府による「反社会的勢力」の過去の使用例と意味は「政府の国会答弁、説明資料などでの使用のすべての実例や意味について、網羅的な確認は困難」としています。

◆第一次安倍政権時代に反社会勢力を定義していました
ですが政府は2007年6月19日の企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針についてという指針の中で「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である『反社会的勢力』」と明確に定義しています。

問題なのは、この指針が出されたのは第一次安倍政権下であり、菅官房長官も総務大臣及び内閣府特命担当大臣として入閣していたということ。

つまり12年前に自らの政権が企業に対し、どのように反社会的勢力に備え、被害を防ぐかを示した指針で明示した定義を自ら「その時々の社会情勢に応じて変化し得るものであり、限定的・統一的な定義は困難だ」と翻したことになります。

吉本興業の宮迫博之さんと田村亮さんが大規模振り込め詐欺グループの会合に闇営業で出演したことで謹慎が続いていますが、「反社会的勢力」が定義すらできない存在であるならば、彼らの処遇には説明が付きません。

日本企業はこの指針の下でコンプライアンスとして「反社会的勢力」との付き合いを断ち、社会から排除して治安を維持すべく動いてきたわけですが、国の中枢が率先して放棄する現状で、誰が追従するのでしょうか。

これに加え、定義が「その時々の社会情勢に応じて変化し得る」ものである以上、誰もがある日突然政府に「反社会的勢力」とされて排除される逆方向の危険もあることになります。


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