オーストリア大統領選で「緑の党」元党首が極右候補を破り、EU初の極右政権誕生が阻止される



極右政権誕生のドミノは食い止められたようです。詳細は以下から。


オーストリアで行われていた大統領選挙で、日本時間5日未明に始まった開票の結果、緑の党の元党首のアレクサンダー・ファン・デア・ベレン氏が極右政党の自由党のノルベルト・ホーファー氏を破り、当選を確実にしました。

現在も開票作業は続行中ですが、日本時間午前4時頃の内務省の発表ではファン・デア・ベレン氏が51.7%、ホーファー氏が48.3%の得票とのことで、ファン・デア・ベレン氏が支持者の前で勝利を宣言、ホーファー氏も敗北を認め、国民の結束を呼びかけています。

事前には現在ヨーロッパに押し寄せる中東などからの難民に対し受入制限などの排外的な主張を行ってきた極右の自由党の躍進が予想されていましたが、ここでホーファー氏が勝利した場合に来年のフランス大統領選で国民戦線のような極右政党が勢いづく可能性が指摘されていました。

自由党は元ナチス党員によって設立されたドイツ民族による統一国家の設立を求める政党。自身では極右政党ではないとしていますが、極右団体と関係を持ち、社会のすべての問題を人種や民族間の問題と説明していることから、オーストリア国内でナチス・ドイツ史を研究するドキュメンテーションセンターは極右政党だとして警戒を呼びかけてきました。

センターのワイディンがー博士によると「自由党は排外主義を『国のアイデンティティーを守る政策だ』と言いかえ、多くの市民から極右と受け取られないようにしている」とのこと。20年前であれば極右として警戒された言動が普通のものとして受け取られるような社会の右傾化が起こっていると実情を指摘しています。

ですが、投票日当日に行われた世論調査では有権者らが自由党の台頭に強い危機感を抱いて投票したとの結果が出ており、ファン・デア・ベレン氏の勝利に繋がったとの見方がされています。

今回の選挙結果はイギリスのEU離脱国民投票、アメリカ大統領選挙の過ちに学んだ投票行動が行われたということができそうです。今後、世界各国の民主主義国の国民たちは同様に過去の事例から学び、極右排外主義を実際の行動で抑止していくことができるのでしょうか?

オーストリア大統領選、リベラル派が右翼候補破る:朝日新聞デジタル

極右の元首は誕生せず オーストリア大統領選 _ NHKニュース


・関連記事
トランプ勝利からたったの1日、米国内ではマイノリティへのヘイトクライムが吹き荒れる事態に | Your News Online

英EU離脱国民投票のやり直し求める署名が390万筆を突破、離脱派幹部が公約を「嘘だった」と認め怒りと後悔が広がる | Your News Online

マクドナルド社と伊フィレンツェが全面対決へ、世界遺産の歴史地区への出店拒否を巡り | Your News Online

「EU離脱を記念し、イギリスを取り戻すため放送終了時に国歌を流すべき」と保守政治家に要求されたBBCの返礼が最高にパンク | Your News Online

リサイクル促進へ、スウェーデン政府が修理費用への減税と新品への増税を提案 | Your News Online