国会を包囲する規模に成長した「脱原発デモ」の現場はどうなっていたのか、フォトレポート



最近は主要メディアでも大きく報道されるようになった脱原発運動。7月29日に行われた脱原発国会大包囲の現場を関西から訪れたのでレポートします。


東京新聞 脱原発の灯 国会包囲  社会(TOKYO Web)

脱原発デモ、国会包囲=「金より子どもの未来を」―ろうそくに灯ともし、訴え・東京 - WSJ日本版 - jp.WSJ.com

7月29日(日)の東京は連日の猛暑に比べると比較的過ごしやすい暑さ。風もあり、日陰では涼しさを感じるほど。集合場所となった日比谷公園には開始30分以上前から大勢の参加者が集まり、木陰で涼を取っていました。

主催者は毎週金曜日に官邸前抗議を行なっている首都圏反原発連合。この日の予定は15時半から集会、16時から日比谷公園を出発し、新橋駅付近を通って公園に戻る周回ルートでのデモ。その後19時から国会包囲というスケジュールになっていました。

藤波心さんが集会の司会を努め、山本太郎さんらを始め、スピーチが行われていました。この日の話題の中心は与党内からも批判の出ている原子力規制委員会の人事案について。


デモの出発地点付近は大混雑。各団体、組織の旗が上がる一方、手製のプラカードを持つ人も多数。高速増殖炉の某ゆるキャラのコスプレをした人も。


16時過ぎにデモが始まりましたが、人が多すぎたため警察が一定人数ずつに区切って出発させていました。若い人も多かったのですが、年配の方もイメージ以上に大勢参加していました。これは外堀通りでの様子。直線距離で600m弱のコースが人で溢れかえっています。


デモの先頭集団を率いていたサウンドカー。ラップでがんがんに煽っていて、とても躍動感のあるデモになっていました。普段ラップとは縁のなさそうな老若男女も一緒になって声を上げていました。


先頭が1.5kmのデモコースを一周して日比谷公園に再び到着したのが17時頃。この時点でもまだ出発できていない人が多数いました。


その後参加者は主催者に誘導されて国会議事堂方面へ。議事堂正面の道路には既に機動隊のバスが並び、官邸前抗議の際にも用いられている鉄柵が張られていました。


18時前の時点での国会議事堂前の交差点付近。スピーチの行われる中心部となるため、報道陣を始め、多数の参加者が集まっていました。警察は付近に立ち止まらずに進むようにと誘導。警察官たちは基本的には花火大会のようなイベントでの警備を思わせる雰囲気でした。



18時半過ぎ。配られたキャンドルに火が灯され始め、持参のペンライトを掲げる人も。辺りはとにかく人だらけ。


19時に国会包囲の集会が開始。民主党の首藤信彦議員、川内博史議員、自民党の河野太郎議員のスピーチの時には「ふざけるな!」「離党しろ!」などの野次が巻き起こり、「帰れ」コールも。筆者の周りで野次っていた何人かが共産党の志位和夫議員のスピーチの時に拍手喝采を送っていたのが印象的でした。


その後、藤波心さんのリードで「ふるさと」の大合唱が行われましたが、このタイミングで警察の準備した鉄柵を越えて車道に人が溢れ出し、いくつもの団体の旗が車道を前へと進んでいくのが見えました。


現場は一時騒然とし、警察、主催者らの歩道に戻るようにとの呼びかけもありましたが、集会の中心部付近で人が多かったこともあり、一度広範囲に溢れてしまった後では収拾はつかず国会正面の車道を参加者が占拠する状況に。


以前官邸前抗議で人が車道に溢れた際には将棋倒しの危険を感じたという話がTwitterなどでも流れていましたが、この日は筆者から見えた範囲では後ろから無理に押して前に出ようという動きをする人はあまり見受けられませんでした。

元々の趣旨から国会を取り囲むように人が集まっており、国会正面後方から次々と人が進んでくるような集まり方をしていなかったからかもしれません。

結局そのまま予定通りの20時までコールが続き、集会は終了。主催者からは「これだけで原発は止まりません。これからも続けていきましょう。」の声。15分ほどで車道の人はゆっくりと歩道に上がり、そのまま解散となりました。



実際に現場に足を運んで感じたのは、日常生活のどこででも見かけるような、本当に「普通の」人々の姿が多いこと。ひとりで来ている人、カップルや家族、友人同士で来ている人など、デートや休日のお出かけ、ショッピングにでも来ているかのような見た目や雰囲気の人が大勢いました。

何度も官邸前抗議に足を運んでいるという男性は「自分で行動して意見を表す、ということがただのブームではなく、日本人にとって普通のことになり始めているのではないか。」と話していました。

この日に集まった人数は主催者発表で20万人、警察発表では1万数千人程度。どちらの数字がより正しいのかは分かりませんが、少なからぬ人数の人々が現実に行動を起こしていることは間違いありません。

今後原発問題に留まらず、政治や社会問題に対して直接声を上げていくという光景が日本中で見られるようになるかもしれません。

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