親が倒れた時の強い味方になってくれる介護保険。でも結果が出るまでのタイムラグの間も生活に支障は出続けます。そんな際にもすぐにサービスを使えることをしっかり覚えておきましょう。
◆仮認定の時点で介護サービスの多くは利用が可能
介護保険を申請したら、認定の結果が出るのは最低でも1ヶ月ほど先のこと。
ですが多くの場合、申請の時点で対象者はすでに怪我や病気などで日々の生活に支障を来しています。そんな状態で不便を感じながら、1ヶ月とはいえ我慢するのは大変なもの。
ですが実際は、申請の正式な結果が出る前に「仮認定」の状態でも介護サービスを使うことができるのです。
これが可能なのは、介護保険制度では「介護認定の発効は原則的に認定申請日」となっているため。結果通知前でも「申請した日に遡って給付を受ける」形でサービスを使えます。
実際には訪問調査の時点で、どの程度の認定が降りるかざっくりとした見込みが立つ場合が多く、これに応じた暫定的なケアプランが立てられます。
そうした暫定的なケアプランに沿い、包括支援センターの担当者やケアマネジャーと共に実際にどの介護サービスを利用するかを検討することになります。
◆ではどの介護サービスをまず使うのか
その中でも重要なのが「福祉用具貸与」という、手すりやスロープ、車椅子や歩行器などのレンタル制度です。
これらは住宅に工事を必要としないものが対象となっており、起きる、座る、歩くといった基本動作に影響が出る場合に手っ取り早く対処することができます。
玄関口や階段、バスルームなどでの移動を助け、転倒を防止するために可能な限り早くこの手配をしておく必要があります。いずれも収入に応じて1~3割の負担でレンタルが可能です。
それ以外にも、日常生活支援の「デイサービス」や、医師の指示によるリハビリや運動を行う「デイケア」など、多くのサービスを使ったり、使うための準備をスタートできます。
ただし注意点として、そのサービスを利用するのに必要な要支援や要介護の認定が受けられなければ、全額を自費で支払わなければなりません。
そのためにも包括支援センターの担当者やケアマネジャーとしっかり話し合ってケアプランを立て、確実なところから使い始めていく必要があるのです。
◆住宅改修を伴う介護リフォームだけは認定後に申請
なお住宅の改修を伴う「介護リフォーム」については、必ず市区町村に事前申請が必要になります。このため、正式な介護認定が降りてからしか申請することができません。
リフォームした後からの事後申請は原則認められず、全額が自己負担となってしまうため、認定までは上記の福祉用具貸与を活用してしのぐ必要があります。
ちなみに介護リフォームの補助金は最大20万円分で、対象者1人に対して1回限りの支給となります。これ以外にも市町村などが独自に介護リフォームに助成金を出しているケースもあるため、こちらも要チェックです。
いずれにせよ、1回で20万円という予算に合わせた改修計画が必要になるため、こちらも対象者の状況、主として介護する人の都合、自宅の状況などを考慮し、担当者やケアマネジャー、施行業者らの専門家としっかり話し合った上で実施する必要があります。
ということで、介護保険の申請をする状況では、対象者へのケアはリアルタイムの問題として起こっているもの。先手先手で何ができるのか、何をするのかを考えて動き始めラレル用にしておきましょう。
次回は、実際に介護保険で認定される「要支援」と「要介護」について、それぞれどう違うのか、どんなサービスを利用できるのかを見ていきましょう。
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