稼げば稼ぐほど幸せになる、身もふたもない研究結果が明らかに



人の幸福度は700万~800万円程度の収入で頭打ちになり、それ以上稼いだとしても幸福度とは比例しない。

そのような救いに満ちた研究結果が一時期話題になりましたが、どうやら新しい研究でこの儚い希望が打ち砕かれたようです。詳細は以下から。


Proceedings of the National Academy of Sciences」に掲載された最新の研究によると、収入が多い人ほど日々幸福を感じ、人生にも満足していることが明らかにされました。

ですが、そこにはお金へのこだわりの強さや、お金と成功を同じものと考えるかなど、他の要素も絡み合ってきていました。


研究では、Track Your Happinessというスマホアプリを用い、アメリカ合衆国の3万3391人の被雇用者たちからのリアルタイムの報告で幸福度を分析。

被験者には1日のランダムな時間にスマホ上で短い調査に答えてもらっており、この際に世帯収入を記入しています。

その瞬間の幸福度を測るために「あなたは今どんな気分?」という質問を繰り返し行い、「とてもよい」から「とても悪い」までの幅の中から回答。これで日々その人がどれほど幸せを感じているかの平均値を算出しました。

くわえて、1万7026人の被験者は「全体として、あなたは自分の人生にどれくらい満足している?」と幸福度を評価する質問をされ、「全然していない」から「非常に満足」までの幅で回答します。


回答の世帯所得と幸福度を分析すると、そこには強い正の関係性が見られました。つまり稼いでいる人ほど日々を幸せに過ごし、人生に対しても大きな満足を感じていました

かつての研究では、収入が800万円前後までは幸福度が比例して上昇し、そこで頭打ちになるとされていました。ですがこの研究では、900万円を超えてもグラフの傾きはほぼ同じままだったのです。

なお、お金と幸福度の関係を説明する鍵としては、人生をどれほどコントロールできているかが大きく関わっている可能性があるとのこと。

実際に「あなたは自分の人生をどの程度コントロールできていると感じていますか?」という質問への回答の3/4は、収入と日々の幸福度のグラフに沿うものでした。


また重要なポイントとして、収入がすべての人を幸せにしてはおらず、当人のお金に対するスタンスが関係していました。お金をより重要だと考える人ほど、収入と日々の幸福度の関係がより強くなっていたのです。

つまり、お金にこだわらない低所得者や、お金にこだわる高所得者ほど幸福を感じやすいことになります。


さらにお金と成功を同一視してしまう人は、平均して幸福度が低くなっていました。そして、こうした考えの人はどの収入レベルであっても、より大きな日々の幸福を得られることはありませんでした。

稼げば稼ぐほど幸せ…という身もふたもない結果ではありますが、「人生をどれほどコントロールできるか」「お金をどれほど重要視するか」「お金イコール成功と考えるか」など、幸福度がその人の人生観とも密接に関わっていることが示されています。


家族や趣味、ライフワークなど、単純にお金に換算できない価値を自分の人生で見つけられれば、そこに幸せも見つかるのかもしれません。もちろん他人に押しつけられる「やりがい」には要注意ですが…。

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