わずかな巨大企業が世界中のプラスチックごみの半分以上を作り出していたことが新たな研究で分かりました。
その中でも半分以上がアジア企業ですが、日本企業はどれだけランクインしているのでしょうか。詳細は以下から。
世界的に大きな問題となっているプラスチックごみによる海洋汚染。その原因の過半数をわずか20社が作り出していたことがNPO法人「Minderoo Foundation」のウッド・マッケンジー社とロンドン・スクール・オブ・エコノミクス、ストックホルム環境研究所との共同研究によって明らかになりました。
この結果は「The Plastic Waste Makers index」(pdf)として公開されて閲覧が可能。2019年にトップ20社が1億3000万トンのプラごみの55%を産出したと同時に、トップの100社が全体の9割を産出したことも明らかになっています。
世界一に輝いたのはアメリカのエクソンモービル社で590万トン。2位もアメリカのダウ社の560万トンで、3位に中国石油化工の530万トンが続きます。
20位までにはアジア企業が最多の11社、ヨーロッパ4社に北米3社、南米と中東が1社ずつとなっています。
アジア企業は中国、タイ、インド、韓国、台湾の企業が占め、気になる日本企業はより下位の25位に住友化学、31位に三菱ケミカル、37位に三井化学、90位に出光興産がランクインしました。
ただし、それでは日本はプラごみに関して問題がないのかというとそれはまた別の話。
こうした企業に投資する銀行の6位に三菱UFJフィナンシャル・グループ、8位にみずほフィナンシャルグループ、9位に三井住友フィナンシャルグループが入っています。
使い捨てプラスチックはほぼすべてが化石燃料から作られており、リサイクルでつくられたのは19年で2%程度でした。また世界のリサイクルされる使い捨てプラごみは10~15%ほどにすぎません。
つまりほとんどの使い捨てプラスチック製品は、化石燃料から直接つくられて文字通り使い捨てされているのが現状。
また今後5年で使い捨てプラスチック製品の生産は3割増しとなり、2050年にはプラスチックに関する温室効果ガス排出が全体の5~10%になると予想されています。
プラスチック製品増加の理由について元米副大統領で環境活動家のアル・ゴア氏は、化石燃料関連企業がかつての主力産業だった輸送と発電の脱炭素化で、プラスチック製品産業へと舵を切っているためと指摘します。
再生可能エネルギーが推進され、EVへの転換が進むほどに石油や天然ガスの企業がプラスチック製品に活路を見出さざるを得ないという、非常に難しい状況が浮き彫りになっています。
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