現在日本で脱法ハーブと呼ばれ、事故の報告もある酩酊作用のあるハーブ類。これが実はマリファナよりも危険な代物であると言われます。いったいなぜ、どこが危険なのでしょうか?
海外ではこれらのハーブ類は一般に合成マリファナや偽大麻などと呼ばれており、合法なため未成年も容易に使用できてしまいます。
「マリファナは過去何千年もの間医療や娯楽のために用いられてきました。ずいぶん乱用もされてきましたが、それで深刻な病気になった人はいません。」と述べるのはニューヨーク大学ベルビュー病院で毒物学上席研究員を務めるジェフ・ラポイント博士。博士は「若者たちはこの脱法ハーブはマリファナなどよりも、もっと危険なものであることを知るべきです」と言います。
有名な銘柄の名前から「K2」や「Spice」などとも呼ばれるこれらの脱法ハーブの正体はマリファナと同じような恍惚感を与える化学物質で、それらの物質を細かく砕いたハーブに吹きつけたもの。ですが、これら脱法ハーブ吸引者の間では心臓発作、動悸、発熱、脱水症状、そして精神病的な発作が増加しています。
◆マリファナよりもさらにどぎつい効力
脱法ハーブは2004年から「お香」や「ポプリ」の名目で、ハーブとスパイスのミックスとして販売されてきました。価格は3グラム入りでおよそ$30~40(約2500~3200円)と、マリファナと同じくらいの値段。ですが、合法であること、薬物テストで反応が出ないことから支持を得て広まりました。
製作者は容易に脱法ハーブ内に含まれる化学物質の種類や混合の比率を変えていろいろなヴァージョンを作り出すことができ、しかも簡単に製造できます。
アメリカ合衆国の麻薬取締局は脱法ハーブに含まれていた5種類の化学物質(JWH-018, JWH-073, CP-47,497, JWH-200, cannabicyclohexanol)を違法としました。しかし化学式を少しずつ変えた類似物質が次々と開発され、脱法ハーブに含まれる化学物質の構成はこの数年でさらに多様化し、現在も増加しています。
国立薬物乱用研究所によると、15000のハイスクールの最上級生への調査の結果、11%が2011年に脱法ハーブを使用したことがあるとのこと。全米中毒事故管理センター協会は2011年に、2010年の2倍近くにのぼる7000件もの脱法ハーブに関する通報を受けました。
近年発表された論文では、脱法ハーブの使用は精神医学的な既往症のない人々においても精神疾患のリスクを増やす可能性があるとのこと。この論文の著者であり、ボストン大学医学大学院の精神科医であるアシュウィン・レディー博士は
「脱法ハーブは脳に対する働きかけにおいて通常のマリファナよりも強い効力を持っています。これら脱法ハーブの使用によってパラノイアや幻聴、無秩序行動やパニック障害に陥る可能性もあります。こうした精神的な症状は人によって数日から数ヶ月続くこともあります」と語ります。
◆元々人間が使用するためのものではない
現在出回っている脱法ハーブはヨーロッパで最初に作られたものだと言われてきましたが、実際に開発したのは南カリフォルニアのクレムソン大学の化学者、ジョン・W・ホフマン氏。彼は医療用の目的でマリファナのTHCと同様に脳に作用する物質を作成しました。THCとはマリファナのいわゆる「ハイ」な酩酊を作り出す有効成分のこと。
「この薬品は研究用のもので、人間に使用する目的で作られたものではありません」とラポイント博士は述べます。また、問題をさらに厄介にしているのは、それぞれのハーブにどのようなタイプの化学物質がどれくらい吹きつけられているのか分からない点だということ。
「あなたにはその脱法ハーブの製作者がどれくらい、どんな化学物質を使っているのかが分からない。つまり、あなたは自分が何を使おうとしているのか、体がどんな反応を示すのかを知ることができないということだ」とラポイント博士は警告しています。
人体での薬効の研究がまだほとんどされていないこと、特に大量摂取、長期間の摂取についてはデータがまだ極めて少ない状態で、実際に何が起こるかは分からないというのが実情。開発者のホフマン氏は脱法ハーブの使用者に対して「こんなのやる奴は大馬鹿野郎だ!(People who use it are idiots)」と言っています。
日本でも繁華街などで比較的簡単に購入できるこれら脱法ハーブ。安易に使用する前にいったいこれがどのようなものなのか、しっかり考えなくてはならないでしょう。
Why Synthetic Marijuana Is More Dangerous Than the Real Thing What Parents Should Know about K2, Spice & Kids' Health MyHealthNewsDaily.com
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