奴隷というとずっと昔の話のように思えるかもしれません。しかし、インドや中国を始め、現在でも奴隷状態に置かれた人が世界には大勢存在しています。
人権団体Walk Free Foundationの最新の研究によると、現在世界の162の国で非熟練労働や性産業などのために人身売買が行われています。
この報告では「現代の奴隷制度」を人身売買、強制労働、役身折酬、強制結婚、未成年者売買と定義しています。
調査者によると、こうした搾取は常に広く行われてきたとのこと。報告では奴隷制度の普及、奴隷状態に陥る危険性、政府のこれらの違法状態を解消するための反応の強さなどから国ごとにランクをつけています。国ごとの詳細は以下サイトのマップから詳しく見ることができます。
Walk Free Foundation Global Slavery Index 2013 Explore the Index
現代の奴隷制度はしばしば貧困の拡大や貧困層への搾取から生じると考えられていますが、調査者であるハル大学ウィルバーフォース研究所のKevin Bales教授によるとこの説は間違っています。
Bales教授は各国政府が汚職や賄賂によって悪習がはびこるのを見逃していることを批判し、人身売買組織を取り締まる法整備を求めています。
「私達が統計値を分析する時、首尾一貫して政府の腐敗が貧困よりも奴隷制度を促進していることが分かります。根本的にこの件は暴力的な犯罪行為として捉えられなければなりません」
研究によると、世界のわずか10カ国に現在存在している2980万人の奴隷の76%が集中しています。これらの国はインド、中国、パキスタン、ナイジェリア、エチオピア、ロシア、タイ、コンゴ共和国、ミャンマー、バングラディシュ。
さらに、西アフリカのモーリタニアが人口に対する奴隷の比率が最も多く、人口380万人のうち16万人が奴隷状態に置かれています。これは旧来の奴隷制度に近い家財奴隷が現在も存続していることと、児童婚の存在の結果とされています。
また、奴隷の絶対数が多いのはなんと1400万人が奴隷であるインドと300万人の中国。インドでの奴隷の問題の最大の原因はインド人による同じインド人の搾取で、借金返済のために低賃金労働者を高利のローンで縛り付けて働かせる事例が特に問題が大きいとのこと。
中国では男女、子供に対する家庭内での労役、物乞いの強制を含む強制労働、女性への性的搾取、児童婚などが挙げられます。
なお、日本はランクでは130位ですが、76000人から84000人が奴隷状態にあるとされています。
実際に「人身取引年次報告書2013」では最低基準を満たしていないとされており、外国人研修生への奴隷的待遇や、性産業での人身売買行為もあるように、決して遠い国の話ではありません。
米国「人身取引年次報告書2013」を発表 日本は「最低基準を満たさない国」
横行する人身取引「日本は人身取引大国」、組織的手口で少女売買/神奈川 (カナロコ by 神奈川新聞) - Yahoo!ニュース
Nearly 30 million around the world are slaves, reveals new report with India, China and Pakistan among worst offenders Mail Online
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