ダンス文化推進議員連盟による風営法改正案の概要が明らかに、風俗営業から除外も


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クラブなどでのダンス規制の改正を目指す超党派の国会議員で結成された「ダンス文化推進議員連盟」による風営法改正案の概要が明らかになりました。5月下旬の国会提出を目指しています。


深夜営業、許可制で認める=クラブ立地要件も緩和―ダンス議連 (時事通信) - Yahoo!ニュース

この改正案ではクラブを風営法の「風俗営業」の規制対象から除外し、その代わり新たにクラブのための「ダンス飲食店営業」「深夜ダンス飲食店営業」という業態を創設。午前0時までの営業に関しては届け出制、午前6時まで営業する場合は許可制とし、立地や面積の要件も大幅に緩和します。

現在「風俗店」扱いのクラブは学校や病院の近くでの営業が禁じられていますが、創設される新たな業態では床面積200平方メートル以下の小バコ~中バコと呼ばれる規模のクラブの営業を許可する予定。

また、現在床面積は66平方メートル以上必要とされていますが、新たな規定では5平方メートル以上(およそ三畳間程度)にまで緩和するとのこと。さらに現在は18歳未満の立ち入りはできませんが、22時までは可能とします。

クラブ側に対しては、深夜営業を合法化する代わりに業界団体の設置を促すなど自主規制を求める方向となっています。

なお、昨日公開された政府の規制改革会議によるダンス営業に係る風営法規制の見直しに関する意見書においても

「『ダンス』という切り口での規制は、クラブやその周辺での暴力沙汰、酔客による騒音等の問題に対する有効な解決方法となっているとは言い難い」



とした上で

「3号営業(編集部注:クラブなどの「客にダンスをさせかつ飲食をさせる営業」)については風俗営業から除外した上で、深夜営業を可能とし、騒音等の各種問題に対して有効に対応できる新たな規制を導入すべきである」



と提言しています。

規制改革会議 ダンス営業に係る風営法規制の見直しに関する意見

ただし、4月25日に無罪判決の出されたNOON裁判では

「3号営業に関する規定の中に規制薬物の使用や取引を防ぐことを目的に含んでいるとうかがわせるものはなく,3号営業の内容と規制薬物の蔓延との間に一般的な関連性が認められるわけでもない。また,3号営業から生じる騒音又は振動による周辺環境の悪化については,風俗営業ではない深夜における飲食店営業に対しても同様の騒音又は振動規制が課されていること(風営法32条1項1号,2項,15条,施行規則74条6号),カラオケ店やライブハウスのようにその営業態様から一定の騒音を生じることが想定される営業が風俗営業とされていないことなどからすると,この点が,3号営業を風俗営業として規制する本質的な理由と解することはできない。さらに,営業所内における粗暴事案の発生防止についても,そもそも風営法の目的である「善良の風俗と清浄な風俗環境」の保持という文言にそぐわない面がある上,深夜における酒類提供飲食店営業が,飲酒の影響によって同様に粗暴事案の発生を招くおそれがあるにもかかわらず,風俗営業とされていないことからすると,3号営業が風俗営業としての規制を受ける根拠を積極的に基礎付けるものとはいえない」



と指摘されており、暴力沙汰や酔客による騒音、規制薬物の蔓延については他の法令によって規制されており、3号営業とは関係がないとされました。

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現在クラブが孕んでいると「指摘」されている諸問題について、果たして風営法の新たな業態の中で規制すべきものか、それとも既存の法令による規制にて対応すべきものかは議論の余地があります。

ダンス規制の改正が現実的になってきた現在、風営法の「外側」の問題でもある暴力事件、騒音・振動、薬物問題、性犯罪、未成年者問題などに対し、クラブシーンがどのように対応し、自主的にルールを定めて規制していくことができるのかが注目されます。

風営法の改正がダンス文化、クラブシーンの目指すゴールではないことが徐々に明らかになってきています。法改正というボールが投げ返された時を想定し、クラブシーンに関わる各々がどのようなダンス文化を作り、維持していくか考えなくてはならない段階に入っているのではないでしょうか。

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