あまりに危険、テレビ朝日のスクープ映像映像投稿サイト「みんながカメラマン」の利用規約が鬼畜過ぎる→現在全力で規約改訂中



テレビ朝日が8月11日に開始した、視聴者がスクープ映像を投稿するサイト「みんながカメラマン」の利用規約がとんでもなく酷いものになっているとネット上で話題になっています。詳細は以下から。


近年スマホの普及によって視聴者が事故や天災などの決定的な瞬間を画像や動画で撮影してSNSに投稿し、テレビ局がそれらを後追いで使用するケースが急増しています。テレビ朝日はこうした潮流の中で自らスクープ映像を投稿するサイトを開始。説明によると

11日から始まったテレビ朝日の映像投稿サイト「みんながカメラマン」は、「テレ朝ニュース」のホームページからアクセスできます。みんながカメラマンをクリックすると、スマートフォンなどで撮影した映像を簡単に送ることができます。事件や事故の様子、ゲリラ豪雨や竜巻などの気象現象、また、思わぬハプニングなどの動画や写真をぜひお寄せ下さい。

スクープ映像投稿サイト「みんながカメラマン」開始



とのことで、これまでSNS上などで使用許諾を取って使用していたものを、最初から自社運営のサイトに投稿してもらうことでより簡単に豊富なコンテンツを集める手段としては合理的に見えます。

しかし、問題なのがこの投稿に関する規約です。以下のリンクから規約全文を読むことができますが、この中で危険すぎると話題になっているのは4から8まで。

みんながカメラマン|スクープ映像募集

4.テレビ朝日は投稿データを、地域・期間・回数・利用目的・利用方法(放送、モバイルを含むインターネット配信、出版、ビデオグラム化、その他現存し、または将来開発されるあらゆる媒体による利用)・利用態様を問わず、自由に利用し、またテレビ朝日が指定する第三者に利用させることができるものとします。当該利用にかかる対価は無償とします。



これはつまり投稿されたデータをいつどのように使おうとテレビ朝日の自由であり、さらにはテレビ朝日が第三者に利用させることもできるというもの。さらにそれに係る対価は一切投稿者には還元されません。

5.テレビ朝日(テレビ朝日指定の第三者を含みます)は、前項記載の利用のために、投稿データを自由に編集・改変することができるものとします。投稿者はいかなる場合も、投稿者の有する著作者人格権を行使しません。



そして投稿データを無償で自由に使えるだけでなく、データ自体も自由に編集、改変できる上に著作権者が変更されても、あくまで著作者に帰属されているものとされる投稿者の「著作者人格権」をも行使しないことまでが求められます。

この「著作者人格権」で記憶に新しいのは今年5月に発表されたユニクロのTシャツ自作プラン「UTme!」での規約。Tシャツのデザインの著作者人格権を行使しないことを求めて大炎上し、ほんの1日で「著作権はユーザーに帰属する」と規約を変更する事態に追い込まれました。

ユニクロのTシャツ自作プラン「UTme!」の権利帰属条項があり得ないほどヤバいと話題に→規約変更「著作権はユーザーに帰属」と明記へ | Your News Online

6.投稿データの採用不採用、投稿データを第4項に定める範囲で利用するか否か、投稿データの利用時期、期間および利用方法等の投稿データの利用にかかる詳細は、すべてテレビ朝日が任意に決めることができるものとし、投稿者は一切の異議を申し出ないものとします。なお、投稿データの採否に関する個別のお問い合わせには、回答できません。



さらに投稿データをどのように利用するかはテレビ朝日が任意で決定でき、それに対して投稿者は一切の異議申立てができず、個別の問い合わせにも応じない旨が明記されています。

なお、問題はこれだけではありません。むしろこの先が本当に危険と言われる所以です。

7.テレビ朝日は、投稿データの利用に関して投稿者に何らかの損害が生じた場合でも、一切の責任を負いません。また投稿者は、投稿データの利用に関して第三者からテレビ朝日に何らかの異議・請求等があった場合、テレビ朝日からの要求に従い、投稿者の責任と費用において解決します。また、投稿データの利用が第三者の権利を侵害したとして、テレビ朝日が損害を被った場合は、これを賠償します。

8.投稿者が、本規約の一の条項に違反した場合、テレビ朝日は投稿者による本サイトの利用を停止することができるものとします。また、これにより、テレビ朝日に生じた損害は、すべて投稿者が賠償するものとし、テレビ朝日は一切の責任を負わないものとします。



投稿データをテレビ朝日が自由に改変して好きなように使用し、著作者人格権までも放棄させているにも関わらず、投稿者に損害が発生しても責任を負わないだけでなく、第三者からテレビ朝日に意義や請求があった場合は投稿者が自らの責任と費用によって解決しなければならず、またテレビ朝日が被った損害についても全て投稿者が賠償するというとんでもない規約になっています。

端的に言えば投稿者はスクープ映像をすべての権利を放棄して無償で差し出す形になる上に、問題が起きれば全ての損害を賠償しなければならないということ。募集されるのが「事件や事故の様子、ゲリラ豪雨や竜巻などの気象現象、また、思わぬハプニングなど」のスクープ映像ということで、他人のプライバシーなどトラブルのタネとなるものが映り込む可能性は十分に考えられます。

もし面白いスクープ画像や動画を撮影できたとしても、この「みんながカメラマン」に投稿する際はリスクのとんでもない大きさを十分に理解してからにする必要があるでしょう。

【追記】
批判を受けてのことかは不明ですが、テレビ朝日は現在鋭意「みんながカメラマン」の利用規約を改訂中です。さて、どのような規定へと変更されるのでしょうか。目が離せません。


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