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風営法のダンス営業規制の見直しに関し、警察庁の有識者会議がダンスの文言を削除し、店内の明るさを表す照度と深夜営業を行うか否かで線引して規制するべきだとする提言を行いました。
風営法の「客にダンスをさせ飲食を提供する営業」に関する規制見直しを議論する警察庁の有識者勉強会「風俗行政研究会」は10日、風営法の定める「風俗営業」から「ダンス」の文言を削除すべきだとの報告書をまとめました。
この中で現在風俗営業とされている、ダンスをさせても飲食は提供しない4号営業に当たる「ダンス教室」は風営法そのものから除外することとしており、客にダンスをさせ飲食を提供する営業である3号営業に当たる「クラブ」については店内の明るさを表す照度と午前0時以降の営業の有無で3つに区分することとしています。
3号営業の中で店内の明るさが10ルクス以下の店は営業時間に関わらず「低照度飲食店」とし、風俗営業との扱いとして営業地域を制限して18歳未満の入店も禁止するが、都道府県条例によっては朝までの営業を可能とする法改正を要請しています。いわゆる朝まで営業しているクラブの多くはここに当てはまることになりそうです。また、ここにはキャバレー、キャバクラなど他の風俗営業も含めることを提言しました。
一方、店内の明るさが10ルクス超の店については午前0時までに閉店する店は「一般飲食店」として18歳未満の入店を22時までに制限するのみで、営業地域の制限はありません。深夜営業を行わないライブハウスやクラブ、ダンスのできるカフェなどはこのくくりに入ります。
また、午前0時以降まで営業する店は「深夜遊興飲食店」という新しい概念を導入します。このタイプの店は風俗営業からは外れますが、朝までの営業が可能となる反面18歳未満の立ち入りは禁止となり、営業地域も「住居集合地域や学校、病院周辺は制限しつつ、条例で指定することが望ましい」と提言されている他、許可制が維持されるべきとの見解が示されています。
これまで「ダンス」の文言で規制されていたクラブですが、今回の提言では明るさと営業時間によって線引されるということで、クラブを巡る事情は大きく変わる可能性もあります。特に床面積の規定もなくなることから、大ハコ、小ハコに関わらず10ルクス以上の照度で朝まで営業するスタイルが増える可能性もあります。
ちなみに10ルクスとは「ろうそくの炎の明るさ」「劇場や映画館の休憩時間中の明るさ」「新聞の小活字が30センチメートルの距離でおおむね読むことができる明るさ」とされています。
照度と明るさの目安
また、「遊興」に関する規制についてはここでは語られていませんが、以前のパブコメでは規制手段の候補として挙げられていたことこから今後とも注視する必要があります。
時事ドットコム:風営法から「ダンス」削除=クラブ規制、照度で線引き-有識者研究会が提言・警察庁
【追記】
本件の報告書がネット上にアップされたのでリンクを追記します。議論の内容に加え、風営法に関する添付資料も丁寧に作られており必読です。
ダンスをさせる営業の規制の在り方等に関する報告書(pdf)
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