渋谷区同性パートナー条例、総務区民委員会で賛成多数で可決、自民党は反対票を投じる



大きな話題となっていた渋谷区の同性パートナー条例が総務区民委員会で可決。31日の本会議で可決されれば無事成立となります。


先月、驚きを持って迎えられた渋谷区の同性パートナー条例案が本日総務区民委員会において賛成多数で可決されました。しかし自民党が反対に回り、全会一致での採決とはなりませんでした。31日に開かれる本会議でも可決され、成立するものと見られています。成立すれば4月1日から施行され、早ければ夏ごろからの証明書が発行される見込み。

同性条例案、渋谷区の委員会通過 「パートナー」として証明 - 47NEWS(よんななニュース)

本件については石川大我前豊島区議会議員、上川あや世田谷区議会議員が速報として以下のようにツイッター上に情報を掲載しています。










BUZZAP!では2月12日に初めて本件について報じましたが、渋谷区の表明に続き世田谷区などがこれに続くことが明らかになり、舛添都知事、林横浜市長らも支持を表明するなど、大きなうねりとなりました。

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渋谷区の同性パートナー条例案に舛添都知事、林横浜市長らが支持を表明 | Your News Online


しかし、自民党はヘイトスピーチPT座長代理の柴山議員が「同性婚を認めると少子化に拍車がかかる」などとテレビ番組上でヘイトデマ発言を行ったのを皮切りに、谷垣幹事長、稲田政調会長らが相次いで消極的な態度を表明します。

同時に安倍首相らが深い関わりを持つ頑張れ日本!も渋谷で反同性愛デモを行うなど、バックラッシュも激化。先日行われた自民党の「家族の絆を守る特命委員会」の会合では

「『婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する』という憲法24条の両性は、男女としか読めない」



との意見が出ていますが、これに関しては同性婚の実現を求めるEMA日本の回答が参考になります。

日本国憲法第24条1項は「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し」と規定することから、同性婚が憲法上禁止されているという主張があります。

しかし、この条文は、家族関係形成の自由・男女平等の理念を家族モデルに取り入れることを目的としたもので、憲法制定当時に同性婚を禁止する意図はありませんでした。

GHQの英文憲法草案による24条1項は以下の通りです。

Marriage shall rest upon the indisputable legal and social equality of both sexes, founded upon mutual consent instead of parental coercion, and maintained through cooperation instead of male domination.
(婚姻は、両性の法的・社会的平等にもとづいてなされるものとする。そして親による強制ではなく2人の合意に、男性による女性支配ではなく2人の協力に基礎を置く)

つまり、この条文は、”parental coercion”(親による婚姻の強制)や”male domination”(男性による女性支配)を是正するために、家族関係形成の自由・男女平等の理念を定めたものでした。

GHQによる憲法草案は、分りやすかった一方で文章が長かったため、最終的にこれらの文言が削除されて日本国憲法ができあがりました。そのため、当初の意図が分かりづらくなっている面があります。つまり同性婚を認めることも禁止することも想定されていませんでしたが、今日の日本語の条文ではこの点が不明確になってしまっています。

一方、憲法第14条1項は「法の下の平等」を定めています。このことから、異性カップルにのみ結婚を認め、同性カップルに認めないことは憲法の理念に反すると考えられます。

同性婚 Q&A EMA日本より引用



また、他にも「同性間だけにパートナーシップを認めるのは異性愛者差別ではないか」というトンチンカンな意見も出たようですが、「異性間だけに婚姻を認めるのは同性愛者差別ではないか」という話になるので全くもって筋がよろしくありませんし、異性愛者に婚姻以外のパートナーシップ制度が必要と考えるならば同様に作ればよい話です。

本日の採決にあたっても、自民党は「区は性的マイノリティーに関する意識啓発を学校で行うと言っている。学校教育で過度の教育が行われる可能性がある」などと反対意見を述べているようで、「過度の教育」をどのようなものだと想像しているのかじっくりお聞かせ願いたいところ。




なお、法務省は「同性間のパートナーシップを認めることを禁じる法制になっていないので、(条例案は)法律上の問題があるとはいえない」との見解を示しています。

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また、こちらも安倍首相と関係の深い統一教会は渋谷区内で関連団体の名前を用いて極めて悪質なデマに溢れた反同性婚チラシをポスティング、さらには条例反対のオンライン署名を集めるなど、徹底した反対活動を行っていました。

同性パートナー条例案に絡み「反同性婚」のチラシが渋谷区でポスティングされる、統一教会との関連指摘も | Your News Online

統一教会が渋谷区の「同性パートナー条例」に反対する署名を開始、同条例案に賛同する署名は1万筆を突破 | Your News Online


こうした妨害の中での渋谷区の総務区民委員会での本条例案の可決は非常に意義深いものであり、さらなる大きなうねりへと広がる突破口となりそうです。

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