川内原発が今年の夏に再稼働される見通しとなりました。桜島などの大規模噴火の影響が懸念されていますが、安倍首相は昨年の時点で「安全性は確保されている」などと強調しています。
5月25日に九州電力は鹿児島県の川内原発2号機の再稼働に向けた使用前検査を申請。再稼働の時期を9月下旬とする工程表を提示しました。九電は既に川内原発1号機について77月下旬の再稼働を目指す工程を示しています。
ただし、再稼働前に原子力規制委員会による使用前検査が予定されており、安全対策が工程通りであるかなどが検査されます。この検査が長引けば再稼働時期は遅れる可能性もあるとのこと。
川内原発 再稼働 2号機は9月下旬、1号機は7月目指す - 毎日新聞
原子力規制委、川内原発の審査終了へ 再稼働は7月下旬か Reuters
この川内原発については桜島などのカルデラ噴火時の火砕流の被害などが懸念されていましたが、その際のシミュレーションでは尽く火砕流が川内原発を避けるように通っていたため、再稼働ありきのご都合主義だと大きな批判が巻き起こっていました。
当該資料は以下リンクから。
川内原子力発電所 火山影響評価について(コメント回答)【PDF:28.8MB】
こうした懸念に対して安倍首相は御嶽山での噴火直後の2014年10月3日時点で
桜島を含む周辺の火山で今般、御嶽山で発生したよりもはるかに大きい規模の噴火が起こることを前提に、原子炉の安全性が損なわれないことを確認するなど、再稼働に求められる安全性は確保されている
(「大規模噴火でも川内原発は安全」 安倍総理より引用)
と明言しています。安倍首相はそれ以前にも東京オリンピック招致時に福島の汚染水は「アンダーコントロール」であるとのデマを流布している他、2006年の国会質疑では巨大地震に伴う津波による全電源喪失についての質問に対し「発生するとは考えられない」「御指摘のような事態が生じないように安全の確保に万全を期しているところである」などと、所謂「安全神話」そのままの回答をしています。
巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書
衆議院議員吉井英勝君提出巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問に対する答弁書
こうした安全神話に基づく対策の不備がまず存在し、2011年の東日本大震災、そして福島第一原発のメルトダウンに至ったわけですが、事故当初には東電や日本政府から「想定外」との弁明が相次ぐこととなりました。
これに対して昨日報道各社が取り上げた国際原子力機関(IAEA)の東京電力福島第一原発事故の最終報告書では、上記答弁後の2007年の訪日調査での「日本には設計基準を超える事故について検討する法的規制がない」との指摘に対して「勧告した安全評価を十分実施しなかった」「国際的な慣行に従わなかった」などと甘さを痛烈に批判されています。
こうした状況下での再稼働への邁進は日本が再び「安全神話」へと立ち返ったと取られても致し方ないもの。火山列島、地震列島であることを十分に鑑み、ご都合主義に陥らない厳格な安全性の確認を抜きにしての再稼働は日本国内のみならず、海外からの信用をも失うこととなるでしょう。
南方新社
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