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基地移設を巡り、沖縄県と官邸の攻防は留まるところを知りません。この問題で大きな存在感を全国に示しているのが沖縄県の地方紙である「沖縄タイムス」「琉球新報」の2紙。それは沖縄にとってどんな存在なのでしょうか?
自民党の若手議員の勉強会、文化芸術懇話会で政府に批判的だとして槍玉に挙げられ、講師の百田尚樹に「潰した方がいい」とまで言われた「沖縄タイムス」「琉球新報」の2紙。
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沖縄に住む人以外にとっては単なる地方紙というイメージしか浮かばないと思われますが、この2紙がいったいどれだけ沖縄の人たちにとって重要なのかが一目で分かるデータがあります。
それが沖縄県における「沖縄タイムス」「琉球新報」のシェア。沖縄県で読まれている新聞のトップ3は琉球新報16万3475部、沖縄タイムス16万625部、日経5794部となっており、沖縄2紙は3位の日経新聞のそれぞれ28倍ものシェアを誇っています。
全国版:都道府県上位3紙|販売部数
なお、沖縄県で購読されている全国紙の部数は日経5794部を筆頭に、朝日1105部、毎日280部、産経285部、読売795部と、桁が2つ違っています。
全国版:全国紙の都道府県別販売部数と世帯普及率|販売部数
沖縄で購読されているこれらの新聞を単純に合計すると33万2359部。購読部数に対するシェアの割合は琉球新報が49.19%、沖縄タイムスが48.33%となっており、ほぼ半分ずつを分けあっている形となります。
もちろん2紙とも購読している世帯もあれば新聞を購読していない世帯もありますが、沖縄県に存在している新聞の中での存在感は他紙を圧倒的に引き離しています。
その原因としては全国紙は飛行機で内地から那覇空港に運ばれるため、当日の朝に朝刊が読めないということ。そして沖縄版として特化していないため、地元のニュースを詳細には扱わないことなどが挙げられます。
読まれていないに等しい全国紙 沖縄特有の新聞事情とは
また、沖縄タイムスはアメリカ合衆国占領期の1948年に創刊。琉球新報は1951年に「うるま新報」が改名したもの。いずれも1972年の日本復帰以前から地元沖縄に密着した記事を掲載し続けており、それ故の平和主義、反戦、反基地の論調となっています。
百田尚樹は勉強会での発言後も沖縄2紙を「つぶれてほしいと思っているのは事実」「反基地、反安保という自らの政治的メッセージばかりを沖縄の人に押し付け、中国べったりの左翼機関紙」と、むしろ自らの偏向を剥き出しに、2紙を激しく攻撃する内容を引き続き発信しています。
同じ反論の中で百田は「私は沖縄が大好きです。学生時代に初めて訪れて土地にも人にも魅了されました。それだけに、偏向したメディアによる支配が許せないんですよ」などとうそぶいてみせていますが、自分がどれだけ沖縄の人々を踏みにじるようなことを言っているのか、もう一度振り返ってみるべきではないでしょうか。
(Photo by Sheila)
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