川内原発1号機が再稼働、電力供給は余裕ながらも原発ゼロが約2年ぶりに終了



2015年8月11日10時30分に九州電力の川内原発1号機が再稼働しました。詳細は以下から。


鹿児島県薩摩川内市に位置する九州電力の川内原発1号機が本日10時30分をもって再稼働しました。関西電力の大飯原発4号機が停止して以来、約2年間続いた原発ゼロ状態が終了したことになります。

原子炉は本日23時頃に臨界に達し、14日に発電と送電を開始。9月上旬に営業運転に移るものと見られています。

川内原発、原子炉起動へ 原発ゼロ、2年で幕:朝日新聞デジタル

◆電力供給は安定、政治的な再稼働
今年は東京で猛暑日が1週間以上続くなど、非常に厳しい猛暑。ですが電力が逼迫しているという報道もなく、節電のお願いすら聞かなくなりました。九州電力管轄でも今年の夏の電力使用状況は「やや厳しい」とされる92%超どころか、90%すら一度も超えていません。




こうした安定供給の要因としては再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に伴う太陽光発電などの普及があげられます。猛暑であれば発電量も上昇するため、電力使用のピークとなる真夏の昼間の電力使用に対応できる形になっています。

また、節電の取り組みやノウハウが震災後に大きく共有されたことにより、2010年に比べて2014年夏の最大電力は1割程度減少。BUZZAP!でもエアコンに関する節電小ネタを2013年に掲載しましたが、毎年夏季になるとアクセスが大幅に増加するなど、意識が高まっていることは間違いありません。

「エアコンは付けっぱなしが最も節電できて経済的」など猛暑のためのエアコン小ネタまとめ | Your News Online

こうした中での再稼働の理由は電力の安定供給というよりも遥かに政治的なものと考えざるを得ません。政府は今年7月に決定した2030年度の電源構成で、原発の割合を約2割として、再稼働への道筋を付けてきています。

また、原発の稼働率などに応じて自治体への交付額が決まる電源立地地域対策交付金制度に関して、経済産業省は停止原発への交付金の減額を「公平性確保」の名のもとに減額する方針を固めており、原発立地市町村では原発再稼働を行わない限り交付額が減額されることとなります。

このような札びらをちらつかせる露骨な圧力によって、交付額の減額を恐れる立地自治体が再稼働を求める動きを強めさせることになる可能性も指摘されています。

停止原発:交付金減額へ 自治体に再稼働圧力 - 毎日新聞


◆誰も責任を取らないたらい回し状態
では、再稼働にあたって過酷事故が発生した際の責任や対策はどうなっているのか。こちらの画像は以前から話題になっていますが、誰も自分が責任を取るつもりはありません。


原子力規制委員会の田中委員長は、再稼働の判断に用いられる新規制基準について「絶対的な安全性を確保するものではない」と当初から明言しており、再稼働についても「判断には関与しない」として、新規制基準はあくまで原子力発電所の設置や運転の可否の判断のためのものであるとしています。しかし安倍首相は

桜島を含む周辺の火山で今般、御嶽山で発生したよりもはるかに大きい規模の噴火が起こることを前提に、原子炉の安全性が損なわれないことを確認するなど、再稼働に求められる安全性は確保されている

「大規模噴火でも川内原発は安全」 安倍総理より引用)



として九州電力の資料を元に安全性は確保されていると主張。菅官房長官も今回の川内原発の再稼働の判断に対して「責任は事業者」と発現するなど、原子力政策を推進しながらもその責任は事業者にあるとしています。

再稼働「前提」変化しているが 需給ゆとり・業績改善…:朝日新聞デジタル

規制委員会も国も責任を投げ出しながら、立地市町村には交付金の減額をちらつかせて原発の推進を図る。結果として電力会社が原発を再稼働し、再び過酷事故が起きた際に何が起こるのかは福島第一原発事故を見れば一目瞭然。東京電力がそうであったように多くの税金が投入されて電力会社が生き延びる事になるでしょう。

◆なぜそこまでして再稼働?
しかしなぜここまで危ない橋を渡りながら原発を再稼働したがるのか。その際に忘れてはならないのが安倍政権の原発ビジネスです。第二次安倍内閣成立以降の積極的な外遊の中で、原発の売り込みが繰り返し行われてきたことは繰り返し報じられています。BUZZAP!でもISによる後藤健二さんと湯川陽菜さんの人質事件において以下の様な告発が行われたことを報じました。

ISIL人質事件でトルコに現地対策本部を置かなかったのは「原発ビジネスへの悪影響を懸念してのこと」との告発 | Your News Online

この原発再稼働が一体誰のためのものなのか、何のための行われるのか、じっくりもう一度考えなおしてみる必要があるでしょう。

(Photo by Wikipedia

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