10段ピラミッド崩壊で6人負傷、巨大化する組体操に「誰のためのものか」と大きな批判



運動会の競技として古くから行われてきた組体操。しかしその巨大化に伴う事故が多発し、批判が集まっています。詳細は以下から。


男性は子供時代に運動会で一度はやったことがあるであろう組体操。クライマックスでピラミッドやタワーという大技に挑んだ思い出を持っている人も少なく無いでしょう。ですが、それも行き過ぎれば子供たちにとっては大きな危険へと変わります。

9月27日に大阪府八尾市で行われた運動会の組体操では、なんと10段のピラミッドという非常に巨大な演目が行われました。ピラミッドは7段で高さ4mを超え、ビルの2階相当にも達します。10段の最上段で立つ生徒の目線は軽く6mを超えていることになります。

この組体操には1年生から3年生の男子157人が参加、9段目までは滞り無く組み上がってゆきますが、最後の10段目の生徒が頂上で立ち上がろうとした時に真ん中から陥没するかのように一気に崩壊します。

この事故で1年生の男子ひとりが右腕を骨折、5人が軽い怪我を負うという大事故になってしまいました。巨大化する組体操に以前から警鐘を鳴らし続けてきた名古屋大学の内田良准教授は10段のピラミッドでは土台の最大負荷量は、一人あたり200kg前後に達すると指摘します。

200kgというとウェイトリフティングでいうとこれくらいのイメージになります。

持田龍之輔 平成27年度第12回全日本学生ウエイトリフティング選抜大会 2015 04 19 - YouTube


この動画では正式なトレーニングを受けた選手が正しいフォームで行うからよいものの、せいぜい数週間程度の練習で、しかも150人を超える体格の違う中学生が行う組体操でかけてよい負荷ではありません。しかも事故となれば6mの高さから落ちるか、その高さから落ちてきた生徒を不自然な体勢で受け止めることとなり、不測の事態がいつ起こっても不思議ではありません。

今回は11人の教師がピラミッドの周りに配置されていたとのことですが、重傷者を含む6人の怪我人を出したということからも安全管理には不足だったことが明らかです。内田准教授はこれに対しても「どんなに先生を増やしても、巨大ピラミッドの重さは1グラムも軽くならない」と厳しく批判します。

日本スポーツ振興センターによると2013年度に全国の小・中・高等学校で組体操の最中に起きた事故はあわせて8500件以上。後遺症が残ったり死亡した例も。こうした事態を受けて、愛知県の長久手市や滋賀県の彦根市などでは組体操の高さ制限を儲けるなど、自治体ごとで規制を行う例も増えています。

しかし、学習指導要領にも記載のない組体操は誰のためのものなのか。児童や生徒のためではなく、教師の満足や保護者の感動のためではないかという指摘もあり、ネットでも過去の怪我の体験などと共に批判が渦巻いています。


















また、刑事事件や損害賠償のリスクについての指摘も行われています。








組体操に未成年の身体の安全や将来の進路に大きなリスクを伴わせる可能性がある以上、そのリスクはしっかりとマネジメントされるべきもの。高さに規制をかけるのもひとつの方法でしょうし、できないのであればきっぱりと止めて他の競技を行うという決断が求められるのではないでしょうか。

組み体操で骨折 注意喚起 - NHK 関西 NEWS WEB

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