ロシア「『南京大虐殺』がユネスコ政治利用?それなら『シベリア抑留』も政治利用だろ」

Photo by Matt Mordfin

南京大虐殺の世界記憶遺産登録をめぐって安倍政権は政治利用であるとしてユネスコ分担金支払い停止を検討していますが、ロシアからはブーメランであるとの指摘を頂いてしまいました。詳細は以下から。


一連の問題の発端はユネスコが中国の申請した「南京大虐殺の記録」を世界記憶遺産に登録したことに対して安倍政権が「ユネスコの政治利用である」として反発、菅官房長官が分担金支払い停止を検討する考えを示したこと。さらに自民党外交部会は「政府にユネスコの分担金の拠出停止や登録撤回を提案するよう求める決議」を可決しています。

南京大虐殺に関しては犠牲者数などについて日中間の主張に隔たりがある他、(大量虐殺を意味する)いわゆる南京事件はなかったのではないかと発言した河村たかし名古屋市長の発言を支持する意見広告の呼びかけ人の筆頭に安倍首相が名を連ねていることも忘れることはできません。




なお、南京大虐殺については日本政府が正式に千九百三十七年の旧日本軍による南京入城後、非戦闘員の殺害又は略奪行為等があったことは否定できないと考えていると国会答弁で認めており、また先日NNNによる極めて詳細な特番で明らかにされたように、否定論が入り込む余地はありません。

NNNドキュメント 2015年10月4日 151004 - YouTube


日本は財政難のユネスコに対して最も多くの資金を拠出していますが、自国の主張が通らなかったことを理由に金を出すのを止めるというあまりにも露骨で強引な「揺さぶり」に対し、既に海外メディアを中心に批判的な報道が広まっています。

そしてこれらの「中国が南京大虐殺の記録を世界記憶遺産に申請したのは『ユネスコの政治利用』である」との日本の主張に対し、同時に世界記憶遺産に日本が申請して登録されたシベリア抑留資料についても「ユネスコの政治利用だ」として反対する立場をロシア政府のユネスコ委員会のオルジョニキゼ書記が明言しました。

日本の中国の「南京大虐殺の記録」登録への批判に対しても「日本こそがパンドラの箱を開けた」「2国間で解決すべき政治問題をユネスコに持ち込んだ」として批判しており、ロシアが日本側に登録申請をしないよう働き掛けていたことも明らかにしています。

まさに藪蛇でブーメランが自分に刺さってしまった日本政府と自民党。ロシアの批判に対してどのように応えるかによってはダブルスタンダードであるとの新たな批判を招きそうです。

シベリア抑留も「政治利用」 世界記憶遺産でロシア - 47NEWS(よんななニュース)

世界記憶遺産:ユネスコ書記「シベリア抑留も政治利用」 - 毎日新聞

「シベリア抑留の世界記憶遺産登録、ロシアが日本を批判」 News i - TBSの動画ニュースサイト

(Photo by Matt Mordfin


生きて、ふたたび シベリア抑留の父、満州・朝鮮を転々とした母
著者:関田 松三 関田 照子 編者:関田 隆
文芸社

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