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大阪市で全国初めてとなるヘイトスピーチを抑止するための条例案が明日にも可決される見通しとなりました。詳細は以下から。
全国で初めて、大阪市でヘイトスピーチを抑止するための条例案が明日15日にも大阪市議会本会議で可決される見通しとなりました。この条例案は橋下徹前市長が2015年5月に提出しましたが審議時間の短さを理由に継続審議になっていたもの。
採決に積極的な大阪維新の会や共産党に加えて公明党も賛成する方針を決めており、賛成多数で可決されることとなりそうです。自民党が条例案に反対するとの見方もあり、全会一致での採決となるかは微妙な情勢。
この条例ではヘイトスピーチを抑止するため、市の審査会がヘイトスピーチと判断した場合、行った個人や団体の名前を公表することとされています。ただし、本日まとめられた修正案では、当初存在していた市内在住のヘイトスピーチ被害者の訴訟費用の貸与は削除されています。
ヘイトスピーチの定義についても条例案で「不特定多数の者が知りうる場所や状態で、人種や民族に係る特定の属性を有する個人や集団を社会から排除したり、権利や自由を制限したり、憎悪や差別の意識や暴力を扇動する目的で、侮蔑や誹謗中傷したり、脅威を感じさせること」などと明確に定めています。
またこの際ヘイトスピーチという「表現活動」にはもちろんデモや街宣活動だけでなく、画像や映像も含まれている他、そうした「表現活動」の記録を販売、上映、インターネット上にアップするといった「拡散行為」も含まれていると規定します。
大阪市はヘイトスピーチと判断された「表現活動」に対して拡散防止に必要な措置を取る上、ヘイトスピーチの概要と拡散防止のために講じた措置の内容、さらにはヘイトスピーチを行った個人や団体名を公表するとしています。
パブリックコメントでは表現の自由との兼ね合いや審査会の中立・公平性などを心配する声も少なからず届いていたようですが、大阪市はHPの特設ページで「意見募集にかかる主なご意見と本市の考え方」として極めて詳細かつ明確に疑問や不安に応答しています。
現在まで大阪の鶴橋などでは繰り返しヘイトスピーチが行われてきましたが、この条例案の可決で行政の実際の対応がどのように変化するのか注目されます。今回の大阪市がモデルケースとなって他の自治体が続く可能性も十分にあり、追っては国のヘイトスピーチ規制法の成立へと続く第一歩となるかもしれません。
大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例案(pdf)
大阪市市民の方へ 「大阪市ヘイトスピーチの対処に関する条例案要綱(案)」の意見募集結果を公表します
ヘイトスピーチ対策案 可決へ - NHK関西のニュース
ヘイトスピーチ条例成立へ 大阪市、抑止へ全国初:朝日新聞デジタル
ヘイトスピーチ:抑止の方策・大阪市条例 全会一致可決へ - 毎日新聞
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