産経新聞に「ヘイトスピーチ」の意味を理解する能力は無いことが判明、国会前デモをデマで攻撃も



産経新聞の編集部には時事的な単語を学習する能力がないことが明らかになってしまいました。詳細は以下から。


今年5月にBUZZAP!では産経新聞の乾正人編集長が「ヘイトスピーチ」の意味を全く理解しない署名記事で大恥をかいた件をお伝えしました。

この署名記事の中で乾正人編集長は

その代表が作家の大江健三郎さんです。彼は憲法記念日に横浜で開かれた「護憲集会」での演説で、安倍晋三首相批判に熱を入れるあまり、「安倍」と呼び捨てにしていました。

どんなに相手の考え方や性格が嫌いでも、一国の首相を呼び捨てで非難するのは、大江さんが大嫌いなはずの「ヘイトスピーチ」そのものです。

【編集日誌】大江健三郎氏の“熱弁”は… - 産経ニュースより引用)



として、ヘイトスピーチとは何かを完全に理解していないことを明らかにしてしまっていましたが、新たに問題となったのが7月29日付けで公開された産経新聞政治部田中一世記者による【政界徒然草】と題されたコラム。

「戦争法案」に反対する国会前デモを題材とした内容ですが、残念ながらヘイトスピーチの意味をいまだ正確に理解できていません。

「戦争したがる総理はヤメロ! 戦争したがる総理はイラナイ!」
「勝手に決めるな、屁理屈言うな!」
「なんか自民党 感じ悪いよね!」

衆院の特別委員会で安保関連法案が可決され、本会議での採決を翌日に控えた15日。シュプレヒコールが国会周辺に響いた。倫理的に問題のある「ヘイトスピーチ」といって過言ではない。



以前もお伝えしたように、ヘイトスピーチとは人種、民族、血統、国籍、宗教、性別、セクシュアリティなど、変更不能もしくは困難な属性に対する差別及び差別を煽動する表現(言論だけに限りません)のこと。単なる罵倒や非難とは全く性質が違うものです。

しかも、国民が政府や権力者に対して意見を表明し、批判を自由に行えるのは民主主義国の基本中の基本。時の政権が(自民党であれ民主党であれその他の政党であれ)納得の行かない政治を行うのであれば、それに対するデモや抗議がある種の「反政府集会」の様相を帯びるのも自然なことで全く問題ありません。

また、ヘイトスピーチという誤指摘だけでなく、デモの参加人数についてもコラムは難癖を付ける形に。

「参加者10万人」はあくまで主催者の発表である。日本一のテーマパーク、東京ディズニーランドの2日間分の入場客数に相当する数だ。それだけの人が、どうやって国会周辺の幅数メートルの歩道に集結できるのだろうか…。



この国会前デモは記事内にもあるように「午前から高齢者らが集い」「若者たちは午後11時半ごろまでシュプレヒコールをあげていた」わけです。また、デモへの参加・離脱は自由であり、各自の仕事や学校、家庭の都合を繰り合わせて参加しています。「行かないよりは5分、10分でも」と駆けつける人もおり、常に現場の人数は流動的でした。

そうした状況での10万人であり、ディズニーランドやアイドルのコンサートのように全員がずっとその場に留まるわけではありません。この辺りは田中記者が現場にいたのであれば一目瞭然なのですが、非常に悪意に満ちた疑問を装った反語表現となっています。







加えて田中記者は14日夜の「経験」を唐突に付け加え、記事タイトルにも「 『あなた公安でしょ?』 記者はマスク姿に詰問され…」と、それまでの国会前デモと関連があるかのように錯覚させる書き方をしています。実際には「戦争をさせない1000人委員会」やSEALDsは14日の夜にはデモを主催していません。

コラムの中ではマスクをした30~40代らしいふたり組の女性に「極左暴力集団や朝鮮総連、新興宗教集団などを内偵捜査して取り締まる」部門である公安と間違われて詰問されたというエピソードも紹介されています。

しかし田中記者はほうほうの体で逃げ出したため、相手の素性は分かっていないわけですが、そこを濁すことで国会前デモの主催者について、公安と何らかの緊張関係にある団体に繋がりがあるかのように思わせるミスリードを行っています。

ヘイトスピーチの意味の取り違え、参加者についての無根拠な雑感、不明確な記載によるミスリードについて、なんらチェック機能が働かず、掲載許可が出てしまったのであれば産経新聞には自浄作用すら無いと言わざるを得ず、意識的に行ったのであれば「デマの吹聴」という、さらに卑劣で許しがたい行為を行っていたこととなります。

やはり他の新聞に廃刊を求める暇があるくらいなら、まずは自らを廃刊とすべきでしょう。

【政界徒然草】国会前デモに集まるヘイトな人々 「あなた公安でしょ?」 記者はマスク姿に詰問され… - 産経ニュース

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