Photo by Diego Martin
現代の人身売買、奴隷制だと海外からは非難轟々の外国人技能実習制度。これに変わって外国人労働者を明確に受け入れる議論を自民党が始めました。詳細は以下から。
働きながら技能を身に付けてもらうことを目的とする、という建前ながら、現実には言語道断な奴隷労働の温床となっている「外国人技能実習制度」。先日BUZZAP!では同制度を利用したあっせん事業者によるおぞましいFAXを取り上げましたが、本格的な外国人労働者の受け入れが検討され始めています。
自民党は3月15日に「労働力の確保に関する特命委員会」の初会合を開催。外国人労働者を明確に「労働力」として位置づけて受け入れ、人手不足が深刻な介護や農業分野などでの労働力を確保する狙いです。
これまで日本は高度な技術や専門的な知識を持つ外国人を労働者として受け入れてきましたが、それ以外の外国人は受け入れてきませんでした。この委員会では在留資格の新設や在留期間の延長、受け入れる職種を拡大するなどの規制緩和策を検討し、4月末までに政府への提言をまとめます。
木村義雄委員長は会合で「労働力をしっかりと確保し経済成長を確実なものにしないといけない。長年のタブーだった労働力として外国人に活躍してもらおう」と訴え、「『移民の寸前』まで持っていけるかも含めて議論したい」とも強調。
また、稲田朋美政調会長は「日本は移民政策をとらないが、成長力確保のため外国人の活用を正面から議論する」と説明しています。これは自民党内に移民政策への抵抗感が根強く、外国人が増えることへの慎重論も根強いため。
しかし、外国人を労働力として正式に迎え入れるのであれば、これまで外国人技能実習制度で行われていたような人身売買や奴隷制と指摘されるような労働環境のままでは大きな国際問題になることは必至。
特に人の命を預かる介護現場では、日本人の介護士に対しても低賃金と低待遇で苛烈なブラック労働が課せられているのが現状。こうした状況に外国人労働者が流入すれば大きなトラブルの発生は免れません。
また、農業に関しても長野県の「レタス村」での中国人実習生への過酷すぎる管理に対して人権救済申し立てが行われるなど、外国人技能実習制度の段階でも人権無視の奴隷労働が行われていました。
日本の経済成長のために外国人を労働力として活用するが移民としては迎え入れないというのもずいぶん身勝手な言いぐさではありますが、それを置いておいても国籍に関わらずまともに働き、まともに賃金をもらえる環境を作るのがなによりも先決。順番を間違えれば大きな混乱が起こることは避けられないでしょう。
自民、在留資格の新設を検討 外国人労働受け入れで - 共同通信 47NEWS
外国人を「労働力」に位置づけ 自民特命委提言へ :日本経済新聞
(Photo by Diego Martin)
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