先日的外れだと批判された待機児童への緊急対策ですが、実際に提出されたものがさらに酷いことが判明しました。
塩崎厚労相が「保育や子育てをとりまく保護者のニーズに、これまで以上に応えるための緊急対策だ」と28日に発表した待機児童緊急対策。しかし、新財源を一切振り分けられず、対策案として知られていたものよりもさらに後退した内容となったことが明らかにされました。
まずは、月給にして8000円、日給計算では400円程度アップとなる保育士給与の4%アップが省かれたことが何よりも大きな後退です。待機児童問題をはじめとする育児の問題の根幹にあるのが保育士不足。
その保育士不足の原因が全産業平均よりも月11万円ほども低い低賃金にあることは既に多くの人が指摘しています。今回の4%アップでさえ雀の涙で、保育士を増やすには全く効果がないと批判されていましたが、その4%のアップすら省かれてしまうという結果には愕然とせざるを得ません。
現在19人となっているミニ保育所の定員を22人まで引き上げることも決まりましたが、保育士が足りない状況でそうした規制緩和を行えば現在の保育士の業務がさらに激化するのは火を見るよりも明らか。そうなれば預かった子供に目が届かなくなり、事故が起こる可能性は確実に増加します。
何よりも政府のやる気を疑わざるを得ないのは、この待機児童緊急対策に対する新財源がゼロであること。本日30日に民進党の山尾志桜里政調会長が塩崎厚労相に「この緊急対策のために確保されたお金はあるのですか?」と質問したところ、塩崎厚労相は
既存の予算として計上されているものについての運用の改善ということでございます
と回答。この問題に対して新たにお金を掛けるつもりが政府にはないことが明らかになってしまいました。
先日与党が介護職員の賃金を1万円上昇させる法案にも反対して否決したことはお伝えしましたが、社会保障や労働者の待遇改善にお金を掛けないというのがこの政権のブレない姿勢と理解されても構わないのでしょうか?
このままではまた「日本死ね」の声が出てきてもおかしくなさそうです。
「保育園落ちた」民進・山尾氏、厚労相追及|日テレNEWS24
塩崎厚労相、待機児童の緊急対策発表 ミニ保育所定員22人に :日本経済新聞
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