伊勢志摩サミットで22兆円バラマキをアピールへ、世界のインフラ整備の名目で従来目標額から倍増


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社会保障充実が遅々として進まない日本、ですが海外にバラマキを行う財源には不足していないようです。詳細は以下から。


政府が5月23日に開いた経協インフラ戦略会議において、安倍首相は世界中のインフラ整備支援のために今後5年間で官民が連携して2000億ドル(約22兆円)を供給する目標を正式決定しました。

政府は2015年5月に「質の高いインフラ投資」構想でアジアのインフラ整備のために1100億ドル(約13兆円)の投融資を行うことを決めていましたが、対象をアフリカ、ロシア、北米、南米にまで広げ、供給目標も倍増させました。

元々この構想は中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への対策として表明されたものですが、中国が積極的な支援攻勢を展開し続けているため、これに競争力を高めて対抗するために行われるもの。

資金を供給するインフラとしては高速鉄道や発電所、港湾建設などが挙げられますが、今後はその対象を石油やガスの資源開発分野や病院建設などにも広げていくことが盛り込まれています。さらに、円借款手続きの迅速化、国際協力機構(JICA)によるユーロ建て海外融資の解禁を行い、民間企業向けには貿易保険のカバー率の引き上げなども行います。

安倍首相は会議冒頭で「質の高いインフラ輸出を促進することは日本の経済成長にとって重要であるとともに、相手国の経済発展にも貢献する」としており、伊勢志摩サミットでこの方針を「質の高いインフラ輸出拡大イニシアチブ」として表明し、世界経済の成長を牽引する姿勢をアピールすることになります。

この表明にはネット上で批判が噴出しています。熊本地震はもちろん、東日本大震災の復興と福島第一原発事故の処理も終わっていませんし、保育や介護、少子高齢化に教育格差、子供の貧困など、急務となる社会保障の充実策も財源不足を理由にことごとく滞ったままです。そうした中で、サミットでいい顔をするために海外に景気よく大金をばらまく財源はいったいどこにあるのか?その金があるなら日本国内の重大な諸問題の解決に使うべきではないかとの声が渦巻いています。












円借款なり融資なら将来的に戻ってくるし、日本企業が受注すれば海外に資金が流出することにはならないという意見もあるでしょう。ですが、円借款については2003年度からの10年間で2兆3000億円あまりを債権放棄している事実を先日BUZZAP!でも取り上げましたし、日本企業が受注したからといって、それが国民に還元されず、企業の内部保留とされたり、パナマのようなタックスヘイブンで「節税」される可能性も十分にあり得るわけです。

なにより将来見込めるかもしれないリターンのために、喫緊の課題として目の前にある重大な諸問題を後回しにするのは本末転倒。ここまであからさまに国内外への対応が違うのは、それでも参院選で自民党が圧勝できるという余裕ゆえなのでしょうか?

インフラ輸出:促進の新戦略、5年間で22兆円 - 毎日新聞

インフラ輸出支援に5年で2千億ドル 首相、サミットで表明へ  :日本経済新聞

インフラ支援、倍増2000億ドル=世界を対象-サミットへ首相表明:時事ドットコム

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