Photo by Eugenia Lyakhova
大麻を合法化された後、懸念されていた未成年者の大麻問題がむしろ減少していたことが分かりました。詳細は以下から。
世界の大麻合法化の流れは現在大きなうねりとなっていますが、悪影響を懸念する声はまだ完全に払拭されたわけではありません。そうした中でも最も心配されているのが未成年者の大麻使用に関する問題です。
しかし、その心配を根底から覆してしまうデータが公表されました。「Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry」に発表された研究によると、大麻合法化の進むアメリカ合衆国の未成年者は、2002年に比べて大麻に手を出すケースが減少していたのです。さらに大麻を含む違法薬物の使用と喧嘩や窃盗といった犯罪との結びつきも弱くなっていました。
この研究を行ったワシントン大学は、「National Survey on Drug Use and Health」のデータを用い、2002年と2013年の12歳から17歳の大麻の使用率と精神障害の発生の変動を測定。この期間中にアメリカ合衆国の13の州が医療大麻を導入し、10の州がレクリエーション目的の大麻の使用への罰則を緩和しました。
その結果、大麻に関する問題の比率は横ばいでしたが、そうした問題と喧嘩や窃盗などの犯罪の相関性は24%減少していました。また、大麻を使用する未成年者の実数も2002年から2013年にかけて10%減少していたことが判明。大麻の合法化や非犯罪化が未成年者に大麻を使用するきっかけを与えることにはならないことが示されました。
大麻の使用と犯罪や問題行動との相関性の減少について、研究の共同執筆者のRichard Grucza博士は問題行動を起こす未成年者に対して子供時代からケアを受けるケースが増えたことで、大麻などに流れなくなっているのではないかと分析しています。
未成年者の大麻使用の問題については「大麻完全合法化から1年、コロラド州で起こったこと、起こらなかったことについて」という記事の中で、映画評論家の町山智浩氏がラジオで語った話を紹介しましたが、こうした事情も未成年者の大麻使用が減少した原因のひとつと言えるのかもしれません。
いままでみたいにヤミのやつは売人が高校生とかに売っていたんですけども。こういう状態になると、ヤミの売人は消えちゃうんで。たぶん高校生の方には前よりは行かなくなるんじゃないかっていう説もありますけどね。
(町山智浩が語る アメリカ マリファナ(大麻)解禁・合法化の現在より引用)
どのみち、大麻合法化と未成年者の大麻使用を結びつけた反対論は説得力を失いつつあります。統制されないブラックマーケットで大麻が扱われていること、そして暴力や窃盗と同列に「ワルいこと」のひとつとして認識されることなどが一部の未成年者が大麻に惹かれ、使用に至るきっかけとなる可能性は十分にありそうです。
Teenage Marijuana-Related Problems Down Since Decriminalization IFLScience
(Photo by Eugenia Lyakhova)
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