SNSでのなりすましにNO、「アイデンティティー権」を大阪地裁が初めて認定



横行するSNSでの成りすましに対する初の司法判断が行われました。詳細は以下から。


ツイッターなどのSNSで以前から横行する成りすまし。気に入らない他人に成りすまして暴言を振りまき、それを拡散して相手の社会的信用の失墜を狙うなどと行った卑劣な行為が常態化していることは以前から問題になっていましたが、今ひとつ有効な対策が行えない状態が続いていました。

ですがこのたび大阪地裁が他人に成りすまされない権利を「アイデンティティー権」として初めて認めたことが明らかになりました。

中部地方の40代男性がプロバイダーに情報開示を求めた訴訟の判決の中で、佐藤哲治裁判長はアイデンティティー権を「他人との関係で人格の同一性を持ち続ける権利」と定義。成りすました人物の発言が本人の発言のように受け止められて精神的苦痛を受けた場合に「名誉やプライバシー権とは別に、アイデンティティー権の侵害が問題となりうる」としました。

佐藤裁判長は、この権利は憲法13条の定める幸福追求権や人格権から導かれるとする一方で、現時点では明確な共通認識が形成されているとは言い難いとも指摘、判断は慎重であるべきだとしました。

Facebookなどの一部を除いて登録に厳密な本人確認を要しないSNSが多いのが現状。そして一度成りすましによって拡散されたデマや暴言を後から訂正や批判をしても修正が追いつかないケースが多々見られ、まさに「成りすました者勝ち」の状況となっています。

アイデンティティー権が確立されれば成りすまし自体が権利の侵害と認められて被害対策が強化されることにも繋がります。一時はもてはやされた「ネットの匿名性」は現状では悪意を持って他者を攻撃することに使われることが極めて多く、その一端ともなっている成りすまし行為に少しでも歯止めがかけられるとすれば、ネット環境の向上にも少なからず寄与することになりそうです。

東京新聞 成り済まされない権利認定 大阪地裁、SNSで初の司法判断 社会(TOKYO Web)

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