年収が低過ぎて恋愛も結婚もできない!若者の貧困で少子化のアクセル全開であることが判明



最新の調査で20代から40代の恋愛熱、結婚熱が急激に冷え込んでいることが明らかになりました。収入が大きなネックになっています。


◆若者の恋愛・結婚離れ?
明治安田生活福祉研究所が2005年から継続的に行っている「20~40代の恋愛と結婚」とした調査の2016年版を6月21日に公表しました。それによると、結婚願望を持っている人の割合が3年前と比べて男性で約28%、女性でも23%減少していることが判明。

また、恋愛についても恋人のいる20代は男性で22.3%と約5人にひとり、3年前と比べて10%減少しています。20代女性でも33.7%と3人にひとり、こちらも9%の減少です。

(クリックで拡大)

異性との交際経験ではさらに驚くべき数字となっており、20代男性の半分以上の53.3%が交際経験ゼロこれは3年前から23.1%の増加。女性も3年前の27.9%から34.0%へと6.1%増加しています。


「若者の恋愛・結婚離れ」というワードで大ざっぱにくくられそうな減少ですが、いったいなぜ3年の間に彼ら・彼女らは急激に恋愛や結婚に対して消極的になってしまったのでしょうか?

◆恋愛・結婚と年収の強すぎる関係
調査を読み込んでいくと、そこで見えてくるのは深刻な収入の問題でした。調査の中の「未婚者の年収と恋愛・結婚観の関係」という項目では年収階級別で交際経験や結婚への展望について調べていますが、男性に関してはえげつないほど明瞭に年収と恋人の有無、交際経験の有無に差が付いています。


同時に、年収は婚活経験や結婚願望、予測についても大きな足かせになっています。年収200万円未満の低所得層ではこれらがいずれも強く抑制されてしまい、結婚に向けたアクションを起こすことも容易ではありません。

この辺りは若者の行動様式にも如実に表れており、3年前よりも恋愛に対して消極的になっただけでなく「社交的なタイプ」が男女ともに20代を中心に大幅減少。「休日は家より外出が好き」「ファッションに気を使う」も軒並み減少しています。いずれもお金を使うタイプの行動がぐっと減っていることが分かります。


未婚男女の独身でいる理由として、男性ではどの年代でも「家族を養うほどの経済力がない」が27%程度と突出しており、同時に独身でいる方が「経済的に自由がきく」との意見も多く、結婚生活によってのしかかる経済的な重圧に耐えきれないとの予測があることが分かります。

女性はこの質問に対して「結婚したいと思える相手がいない」とする割合が一番多いのですが、20代女性の57.1%、30代女性の67.9%が結婚相手に求める年収が400万円以上としている反面、この年収に達している20代男性の割合が15.2%、30代男性でも37.0%であることから、結婚したいと思える相手を見つけることが困難であることは火を見るより明らか。

ここで「女は自分で稼ぐ意志はないのか!」というトンチンカンな意見が出てきそうですが、結婚の後に想定される出産に伴う育児休暇の取得の困難さ、育児休暇取得によるキャリアの途絶、また「保育園落ちた日本死ね!」ブログで明らかにされた待機児童問題をはじめとした多くの育児問題の存在を考えれば、女性が共働きの継続を念頭に結婚に向かうことがこの上なく難しいことは言うまでもありません。

なお、女性の44.3%が「結婚には、女性の「稼ぎ力」も大事」としており、男性に頼り切りというわけでもありません。

◆20~40代にカネが回らなければ少子化は防げない
この調査を通して分かるのは、若い世代が恋愛に消極的であったり結婚に興味を持たなかったりする大きな理由が収入の問題だということ。

恋愛が結婚の前段階となるケースは多いので、恋愛に消極的であれば結婚へと進む可能性はより少なくなります。また恋愛をしていても、結婚生活に求められる安定した収入が得られていなければ、結婚に踏み切ることは容易ではありません。

若い世代が将来に希望を持てる安定した働き方をして十分な収入を得られなければ、結婚・出産から子供に教育を受けさせて育て上げるといった一連の決断は大きなリスクとなります。「ずっと非正規雇用のままで突然雇い止めされたら?」と考えながら責任ある結婚という行為に踏み出すのは難しいですし、「ブラック企業で月に150時間以上サビ残させられて休みも取れない」という状態で婚活をするのも無理。

もちろん先に述べた育児問題の解決も重要ですし、妊婦やベビーカーに対する日本社会の苛烈なバッシングを無くす必要もあります。ですが、何よりも子供を産み育てる20代から40代にカネがなければ恋愛や結婚への意欲は今後も失せる一方で、少子化が止まることがないことだけは間違いありません。

(PDF)20~40代の恋愛と結婚 - 第9回結婚・出産に関する調査より -

結婚したい20代 大幅減 男性で28ポイント、収入も影響か  :日本経済新聞

20代男性の53.3%が「交際経験なし」 恋愛・結婚意識に「年収」は影響大 - ITmedia ビジネスオンライン

少子化は止められるか? -- 政策課題と今後のあり方

有斐閣
売り上げランキング: 117,301

・関連記事
日本の若者の社畜度が過去最高に、「良心に反する指示でも上司に従う」新入社員が45%まで爆増 | Your News Online

厚労省で最低賃金引き上げの議論が始まるも目標はたったの「時給20円アップ」…ではどうすればいいの? | Your News Online

超高齢化社会は既に…認知症の年間行方不明者1万2208人、死者479人で3年連続最多更新 | Your News Online

OECD「トリクルダウンは起こらなかったし、所得格差は経済成長を損なう」という衝撃の報告について | Your News Online

竹中平蔵が「トリクルダウンはあり得ない」と断言、今までの主張は嘘でした | Your News Online