日本の若者の社畜度が過去最高に、「良心に反する指示でも上司に従う」新入社員が45%まで爆増



日本人の社畜化計画が順調に進展しているようです。詳細は以下から。


公益財団法人日本生産性本部が20日に発表した今年の「新入社員 春の意識調査」によって、日本の若者の社畜化がこれまでになく進展していることが明らかになりました。

意識調査の中で「会社のためにはなるが自分の良心に反する手段で仕事を進めるよう上司から指示された」場合にどう対応するかとの質問に対し、「従う」とした回答が前年比でなんと7.4%も増加し、過去最高の45.2%を記録しました。

この質問で前年に最多の回答だった「分からない」は6.3%減少して44.2%に、「従わない」との回答は1.1%減で10.6%に減少しており、「分からない」と回答していた層が「従う」に流れた形になっています。

別の質問でも、今後の社会人生活について「期待より不安が大きい」人の割合が半数以上となる過去最高の52.4%に達しており、「自分の良心を押し殺してでも上司に従わないと社会人生活がどうなるか不安」という心理が透けて見えます。特に女性では不安が大きいと答えた人が男性よりも5%以上多い56.2%となっており、女性にとって社会人生活が厳しいものとなっていることが分かります。

「残業は多いがキャリアや専門能力が高められる職場」か「残業時間が少なく平日でも自分の時間を持てる職場」のどちらを好むかでは後者がこちらも過去最高の74.7%を記録。時事通信の報道では「出世より自分の生活や趣味を優先する若者の傾向が一段と強まっている」と分析していますが、これはむしろ「過労死させられない非ブラックな職場」を求めていると考えた方がよさそう。

また、昇進については「能力をもとに評価が決まり昇格に差が付く職場」を好む能力主義派が57.7%と「年齢や経験によって平均的に昇格する職場」を好む年功序列派の42.3%を上回っていますが、年功序列派はじりじりと増加しており、過去最高となっています。

この辺りは能力主義という言葉の下で延々と低賃金で使い潰されるような話が巷に溢れていることに起因する警戒感と言えるかもしれませんし、むしろ現在取りざたされている介護や年金といった問題に絡んだ老後への不安が原因とも考えられます。

総じて見ると、これらの結果が示しているのは警戒と萎縮。上司に従わないとリストラ対象になるかもしれず、失業したらまともな生活ができないという不安感、さらに企業の中にいても過労をはじめとしたブラックな待遇で潰されるのではないかという恐れが若者の中にあることがうかがえます。

これは単に「最近の若者の精神性」の話に落とし込めるようなものではありません。奨学金問題やブラック企業問題、非正規雇用問題が社会人になると同時にのしかかり、将来を見ても結婚し、子供を産み育てるには極めて厳しい状況が待っています。そして先にも述べた介護、年金といった老後にまで明るい状況が想像しにくい社会状況が現前していることは事実であり、そうした状況が若者らしい闊達さを奪っている側面は無視できません。

また、企業側としてこうした状況から容易に想像できるのがモラルハザード。三菱自動車で起きた燃費偽装問題のような問題がいくらでも発生しうる状況が進展していることは間違いありません。社会人が会社の利益のために良心に反するような業務を続けていった場合に破局に陥る実例を目の当たりにしている以上、このまま進むことは得策とはいえないでしょう。

(PDF)2016 年度 新入社員 春の意識調査

「上司に従う」、最高の45%=良心に反する指示で-新入社員意識調査:時事ドットコム


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