自民党にとっては子供を戦場に送りたくない教師は偏向しているため密告対象ということが判明しました。詳細は以下から。
参院選投票日を前に、自民党が望む教育の姿が明らかになりました。子供たちを戦場に送りたくないと考える教師は政治的中立性を逸脱しており、密告対象となっています。
自民党は教育現場に中立性を逸脱した教師が存在しているとし、「学校教育における政治的中立性についての実態調査」への国民の協力を求めました。
自民党文部科学部会長の木原みのる衆議院議員は7月7日に「18歳の高校生が特定のイデオロギーに染まった結論に導かれる事を危惧してます」として以下のようにツイート。
残念ながら教育現場に中立性を逸脱した先生がいます。18歳の高校生が特定のイデオロギーに染まった結論に導かれる事を危惧してます。そこで、学校教育における政治的中立性についての実態調査を実施します。皆さまのご協力をお願いいたします。https://t.co/NZH1bOXCOR
— 木原みのる (@kihara_minoru) 2016年7月7日
なお、この木原みのる衆議院議員は、昨年自民党若手議員の勉強会「文化芸術懇話会」で、講師として呼んだ百田尚樹が「政府批判するマスコミは経団連を通じて懲らしめる」「沖縄の2紙は潰さなくては」などと言論統制を呼びかけたことで自民党青年局長を更迭された議員。
この勉強会には「『戦争に行きたくない』は利己的個人主義」とデモを批判しながら自らは未公開株購入持ちかけトラブルが発覚し、自民党を離党させられた武藤貴也議員も参加していたため、覚えている方も多いのではないでしょうか?
そして木原みのる議員が呼びかけた密告ページは自民党の「学校教育における政治的中立性についての実態調査」とされたもの。既に炎上を受けて現在は閲覧できない状態になっていますが、魚拓で内容を確認することができます。全文を引用すると
党文部科学部会では学校教育における政治的中立性の徹底的な確保等を求める提言を取りまとめ、不偏不党の教育を求めているところですが、教育現場の中には「教育の政治的中立はありえない」、あるいは「子供たちを戦場に送るな」と主張し中立性を逸脱した教育を行う先生方がいることも事実です。
学校現場における主権者教育が重要な意味を持つ中、偏向した教育が行われることで、生徒の多面的多角的な視点を失わせてしまう恐れがあり、高校等で行われる模擬投票等で意図的に政治色の強い偏向教育を行うことで、特定のイデオロギーに染まった結論が導き出されることをわが党は危惧しております。
そこで、この度、学校教育における政治的中立性についての実態調査を実施することといたしました。皆さまのご協力をお願いいたします。
と、明確に「『子供たちを戦場に送るな』と主張し中立性を逸脱した教育を行う先生方がいる」として、子供たちを戦場に送りたくないという主張が政治的に中立ではなく、「生徒の多面的多角的な視点を失わせてしまう恐れ」のある偏向した教育であると明言しています。
ここではまた「高校等で行われる模擬投票等で意図的に政治色の強い偏向教育を行うことで、特定のイデオロギーに染まった結論が導き出される」ともしており、18歳投票権の採用により、より必要性が論じられている模擬投票などについても強く釘を刺す内容になっています。
「教育の政治的中立はありえない」という主張にも苦言を呈する形となっていますが、いったい政治的中立がどのようなものかについてはここでは一切述べられていません。そしてページの下部で
政治的中立を逸脱するような不適切な事例を具体的(いつ、どこで、だれが、何を、どのように)に記入してください。
として、「政治的中立を逸脱するような不適切な」教育を行った教師について、具体的な事例を密告するように奨励しています。
「子供たちを戦場に送るな」は間違いなく日本国憲法の三大基本原理のひとつである「平和主義」に根拠を持つ主張ですが、これが政治的に偏向しており密告すべきだという自民党の姿勢は、憲法99条の「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」という条文に反しており、違憲行為と言わざるを得ません。
既に「憲法」「平和」「9条」などが政治的に偏ったワードであるとされる事例は少なからず発生していますが、政府与党が率先して密告を推奨していることには唖然とせざるを得ません。そして「子供たちを戦場に送るな」が偏向しているのであれば、当然「お国のために死んでこい」も政治的に偏向した教育であることになりますが、自民党はその辺りをどう考えているのでしょうか?
参院選の投票を目前にして現れたこのサイトには批判が集中し、自民党はあっという間に削除を余儀なくされていますが、削除に関する説明などは現在に至っても行われていません。
学校教育における政治的中立性についての実態調査 参加しよう 自由民主党(魚拓)
【7/9 12:25追記】
文面を微妙に変更して密告フォームを復活させたため追記します。
「子供たちを戦場に送るな」と主張し
↓
「安保関連法は廃止にすべき」と主張し
「安保関連法は廃止にすべき」という主張が中立性を逸脱した政治色の強い偏向教育だとするなら「安保関連法は堅持すべき」も同様に中立性を逸脱した政治色の強い偏向教育ということになってしまいますが、大丈夫でしょうか?
また、密告者は住所氏名年齢をはじめとした個人情報を入力する必要がありますが、この密告によって収集された個人情報の取り扱いに関する記述が一切ありません。密告をお考えの方はご自分の個人情報の保護についてなんら保証されていないことに十分にお気を付け下さい。
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